汚部屋になる理由は人それぞれですが、「きっかけはごく小さなものだった」ということが多々あります。現在綺麗な部屋に住んでいる人も、関係ないと安心はできません。まずは汚部屋に住む人の心理を知り、自分を振り返ってみてはいかがでしょうか。

汚部屋化する理由は様々

汚部屋とは、生活に支障をきたすほど部屋が散乱し、汚れた部屋です。『近年注目されているゴミ屋敷と同じ状態が集合住宅の室内に展開されている』と考えればわかりやすいでしょうか。

汚部屋に住む人々の『理由』を考えてみましょう。

部屋が汚いイコール怠惰ではない

部屋が汚い人と聞くと、『だらしない』『怠惰』というイメージを持つ人は多いでしょう。しかし実際のところ汚部屋化しやすい人の多くは、だらしない人よりも真面目な人です。

真面目な人は仕事や学業に真剣に取り組むあまり、自分の時間が取れません。片付けや掃除にかかる時間を仕事や学業に充てているため、部屋が汚部屋化しやすいのです。仕事や学業に対する使命感や責任感が強い人ほど、汚部屋化しやすいといえるでしょう。

完璧主義で片付けられない人もいる

完璧主義な人は部屋も綺麗に整っているかといえば、そんなことはありません。完璧主義者は『完璧』を目指すあまりに、部屋の片付けに取り掛かれない場合があります。

完璧主義者は、『まだ片付けにはベストなタイミングじゃない』『もっと良い片付け方があるはず』と色々な理由を持ち出して、実際の片付けを後回しにしがちです。また、たとえ片付けに取り掛かっても細かい事が気になり、『捨てる・捨てない』『どこに収納するのか』といった判断ができません。

このような状況では片付けには莫大な時間がかかり、途中で嫌になってしまうでしょう。

自分の生活が後回しになる

普段から仕事や学業が忙しい人は、プライベートがおろそかになりがちです。このような人は自分に手をかけないぶん、部屋が汚くなります。

忙しいからとコンビニで弁当やペットボトルを購入すれば、毎食分のゴミが出るでしょう。ところが、時間がないため指定日にゴミを出せず、ゴミはどんどん溜まっていきます。このような生活を長く続けていれば、どんな部屋でも簡単に汚部屋化していくことは明白です。

ADHDやうつ病により片付けできない

片付ける意思や時間が十分あるのに片付けできない場合は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の疑いがあります。また、気分が沈んで何も手につかないという人は、『うつ病』を発症しているのかもしれません。このように、片付けできない原因には発達障害や病気が潜んでいる場合もあります。

ADHDは注意力散漫・衝動的・集中力が持続しないという特徴があり、片付けには不向きです。一方、うつ病は精神的うつ状態が物事に対するやる気を奪い、体を動かすことも億劫になります。

これらの症状がある場合は、いくら強要されても片付けはできず、片付けそのものがストレスになるでしょう。自分でおかしいと感じたり、他人から症状を指摘されたりした場合は、速やかに専門医に相談することをおすすめします。

汚部屋は心理学でも注目のテーマ

汚部屋は近年、心理学者からも注目を集めています。

心理学的には『汚れ』が人に悪影響を与えると考えられています。この考え方によれば汚部屋に住む人は、常に精神的に大きな負担を背負っているといえるかもしれません。汚部屋と心にはどのような関係があるのでしょうか。

ためこみ症により物が増える

ためこみ症とは物をためこむ事に執着し、捨てる事に苦痛を覚える症状です。

物を集めるのが好きな人は『コレクター』『収集家』とも呼ばれますが、ためこみ症の場合は利用も整理整頓もせず、『ただ集めるだけ』で満足します。集める物は古新聞や古雑誌、空き箱といったゴミも含むため、症状が進行すれば、日常生活にも支障をきたすようになるでしょう。

こうした症状は、貧しい幼少期を体験した高齢者や、虐待などつらい幼少期を送った人に顕著です。親しい人との別れ、死別などをきっかけに悪化する場合が多く、発達障害やうつ病などはみられません。

ためこみ症は多くの場合、心の淋しさや空白が原因で、それを埋めるために物を集めてしまうのではと考えられます。

部屋は心理状態を表す

自分が一番自分らしくいられる部屋は、その人の心の中を表しているといわれます。つまり部屋がものすごく汚い、散らかっている人は心の中にもなんらかのトラブルを抱えていると考えられるのです。

現在の自分の部屋を見て、「あまり良い状態じゃないな」と感じる人は、たまにはのんびりする時間をとって、自分自身を振り返ってみてはいかがでしょうか。

汚部屋化する可能性は男女ともにある

汚部屋はメディアに取り上げられることも多いため、中の様子を見たことのある人も多いでしょう。足の踏み場もないほどのゴミの山を見れば、「信じられない」と思う人がほとんどかもしれません。

しかし、男性・女性問わず、ちょっとしたきっかけで汚部屋の主になる可能性はあります。自分は絶対にならない、と楽観せずに、自分を客観的に眺めてみるとよいでしょう。

心理テストで自分の性格を知る

汚部屋化を防ぐには、自分の本当の性格や傾向を把握することをおすすめします。

汚部屋化しやすい人は怠惰な人よりも真面目な人が多い、というのは前述のとおりです。「自分は大雑把だから大丈夫」と思っている人も、内面は几帳面で神経質かもしれません。まずは『自分は○○』という思い込みを取り払い、自分の性格をきちんと理解してみてはいかがでしょうか。

どうすればよいかわからない、という人には、気軽な心理テストがピッタリです。雑誌やネットをチェックすれば自分の性格を知る手がかりとなるテストがいくつもあるので、気軽に利用してみましょう。

セルフチェックで客観的に評価

現在「自分の部屋は汚部屋ではない」と断言できますか?汚部屋の主の中には、『自分の部屋が汚部屋である』と気付いていない人もいます。まずは客観的に自分の部屋をチェックし、汚部屋化を食い止めましょう。

自分の部屋の汚部屋度を知るには、チェックボックスにチェックを入れて部屋の状態を判断できる、『セルフチェック式テスト』をおすすめします。こちらもいろいろなテストがあるので、いくつか試してみるとよいでしょう。

汚部屋にならないコツは?

汚部屋化を防ぐには、普段からのちょっとした習慣が有効です。汚部屋化しにくい部屋を保ち、快適に過ごすコツを紹介します。

物を増やさない

部屋を汚部屋化させない最も重要なポイントの1つが、『物を増やさない』ことです。汚部屋の多くはゴミが部屋中に散乱し、足の踏み場もありません。

まずは物の定位置を決め、はみ出したものは潔く処分しましょう。

人間が生活するうえで必要な物は、そう多くはありませんスペースがあるからと物を押し込むのではなく、『必要な物だけを揃える』ように心がけましょう。そのためには、『買ったら捨てる』『ストックの上限を決める』など、自室のルールを明確にし、それを遵守することが大切です。

物の全体量を少なくしておけば、汚部屋化しにくい部屋をキープできるでしょう。

掃除を習慣化する

生活している以上、物が散らかったり出しっぱなしになったりすることはあります。重要なのは、その状態を放置せず、なるべく早く綺麗にすることです。

綺麗な状態を保つには、1日のうち少しでも掃除や片付けに時間を取るようにしましょう。忙しくてまとまった時間が取れない人は、1カ所だけ、数分だけの掃除でかまいません。

こまめな掃除を習慣化することで、「汚したくない」という意識が芽生えるメリットがあります。汚部屋化しそうになっても「汚したくない」という気持ちが強ければ、汚部屋化を食い止めることは容易でしょう。

まとめ

汚部屋に住む人も初めから汚部屋だったわけではありません。誰でもきっかけがあれば、汚部屋の主になる可能性はあるのです。まずは「汚部屋は他人事」と考えず、自分にも起こりうることとして、自分自身を振り返ってみましょう。

また、現在汚部屋に暮らしている人がいるなら、それは病気や発達障害が原因かもしれません。速やかに専門医に相談し、状況の改善をはかることをおすすめします。

汚部屋化を防ぐには、普段の習慣が重要です。物を増やさない、掃除を毎日するなど、小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。