ゴミ屋敷はと同様に急増しているのが、一人暮らし世帯に多い『汚部屋』です。汚部屋の場合、状態が外から分かりにくいぶん、ゴミ屋敷より厄介かもしれません。普通の部屋が汚部屋化してしまう原因を知り、汚部屋化を防ぎましょう。

一人暮らしの汚部屋が増加中

ゴミを溜め込み近隣に迷惑をかけるゴミ屋敷が増加する一方、一人暮らしのアパートやマンションなどでも『汚部屋』が増加しています。

汚部屋化した一人暮らし世帯の現状をみてみましょう。

社会生活はできているが部屋は汚い

汚部屋化した部屋に住む人の多くは仕事を持っており、一見きちんと社会生活を送れているように見えます。外見も特に不潔ということはなく、普通の身なりをしている場合がほとんどで、とても汚部屋の主には見えないでしょう。

アパートやマンションでは部屋の内部がわからないため、近隣住民は汚部屋がどんな惨状であるか気付けません。そのため、害虫や悪臭がひどくなったり床が腐ったりするまで具体的な対応がとれず、被る被害が汚屋敷よりも大きくなる場合があります。

汚部屋住人には女性も増えている

汚部屋というとだらしない男性が住んでいるイメージですが、現在増えているのが女性の汚部屋です。

女性の汚部屋は男性の部屋に比べて生ゴミが多いのが特徴で、ガラクタばかりの汚部屋よりもある意味厄介です。汚部屋化する女性の多くは、人に従事する仕事に就いているケースが多く、外では多大なストレスを受けています。こうした日々の精神的疲弊が積み重なり、片付けの気力を奪っているとも考えられるでしょう。

ブログなどで汚部屋を告白する人も

汚部屋に住む人の中には「現状をどうにかしなければ」と奮起し、ブログなどで自ら汚部屋に暮らしていることを告白している人もいます。ブログでは、日々の片付けの様子や思うことを自由に発信しており、ブログが汚部屋脱出のモチベーションになっているようです。

ブログカテゴリに『汚部屋』『汚部屋・ごみ屋敷』などがあることからもわかるように、現在汚部屋に悩む人は、決して少なくはないのです。

汚部屋化してしまう理由は?

誰でも初めから汚部屋に暮らしていたわけではなく、汚部屋化するにはなんらかの理由があるはずです。一見きちんとしている一人暮らし世帯が汚部屋化してしまうには、どんな理由があるのでしょうか。

多忙で片付ける余裕がない

日頃から仕事などで多忙な人は、部屋を片付けたり掃除したりする時間的余裕がありません。さらに、多忙すぎて精神的な余裕がなくなれば、「部屋を片付けよう」という気力もなくなってくるでしょう。

また、多忙な一人暮らしの人ほど『ゴミを溜めやすい生活』になりがちです。食事は全てコンビニ弁当やパン、飲み物はペットボトルという毎日を送れば、あっという間にゴミは増えていくでしょう。

ゴミが増えてもきちんと処分できればよいですが、多忙な人はゴミの分別やゴミ出しの時間がありません。そのため『捨てられないのに生活ゴミは増えていく』という悪循環に陥ってしまい、汚部屋化が進行してしまうのです。

完璧主義者でも汚部屋化する

汚部屋化している人のなかには、いわゆる『完璧主義者』も多く見られます。というのも完璧にしたい人ほど、『ゴミの片付け方』にも強いこだわりがあるからです。

このような人は片付けにベストな時期はいつか、どこからは始めるのがよいかなど、細かい事に悩み過ぎて本題の片付けには取り掛かれないことがあります。

また、完璧主義者は『片付けたいのに片付けが進まない』ことがストレスとなり、衝動買いや爆買いの原因となります。ストレスが溜まるため物を増やし、物が増えるからストレスが溜まるというループにはまれば、抜け出すことは難しいでしょう。

ADHDの可能性もある

本人が片付けに真剣に取り組んでいるにもかかわらず、片付けが進まない場合は『ADHD(注意欠陥・多動性障害)』かもしれません。

ADHDはいわゆる発達障害の1つで、集中力を維持できない、衝動的、多動といった特徴があります。原因は脳内の神経伝達物質が安定して機能しないためといわれており、本人の意思でコントロールできるものではありません。

自分の行動がおかしいと感じたり、他の人から指摘を受けたりしたときは、速やかに専門医に相談してみましょう。

メンタルの問題が汚部屋を悪化させる

忙しさも度を越すとストレスが溜まり、メンタルにダメージを与えます。片付けには体力とともに気力や決断力が必要ですから、メンタルが不安定な人は片付けにも取り掛かれなくなるでしょう。

汚部屋化を悪化させるメンタルダメージにはどんなものがあるのでしょうか。

うつ病や無気力

うつ病や無気力を発症した人は、部屋を片付けようという気力そのものが湧いてきません。重度のうつ病は入浴や歯磨きさえ困難になるといいますから、片付けなどは到底できなくなるでしょう。

このようにうつ病や無気力になる人は、責任感が強くまじめな人、完璧主義な人に多いといわれます。軽度のうちは『だらしない人』ですむ範疇ですが、重度になると日常生活にも支障をきたすようになり、汚部屋化が加速するのです。

セルフネグレクト

セルフネグレクトとは、自分自身を顧みなくなる『自己放棄』の一種です。生きていくために必要な食べたり寝たりといった自己管理が出来なくなり、『住まいを快適に保つ』こともできません。

セルフネグレクトの原因は孤独、経済的困窮、病気、性格など様々ですが、原因が何にせよ普通の生活を送れなくなるのは同じです。これまでセルフネグレクトは高齢者に多いと言われていましたが、近年は若年化の傾向が見られます。働き盛りの一人暮らし世帯でも、多くの人がセルフネグレクトに陥っているのです。

汚部屋化を防ぐ方法

自分以外に片付ける者のない一人暮らし世帯では、誰の部屋も汚部屋化する危険があります。快適な一人暮らしを維持するには、どんなことに気を付ければよいのでしょうか。

物を溜め込まない、増やさない

一人暮らしの部屋は収納スペースが限られており、不要な物が増えればあっという間に汚部屋化します。物を部屋に入れる時は本当に必要な物か、部屋に似合うか、など物を厳選することが重要です。物の全体量が少なければ溢れることはありませんし、片付けも容易になるでしょう。

掃除の習慣をつくる

一人暮らしで掃除にまとまった時間が取れないという人は、1日短時間、1カ所だけと決めて掃除を習慣化してみてはいかがでしょうか。

毎日こまめに掃除することで、自分の中に『部屋を汚したくない』という気持ちが生まれます。少しずつの掃除が大掃除の手間を省いてもくれますし、小さな積み重ねが汚部屋化を防いでくれるのです。

部屋の画像を記録し振り返る

片付け前・後の様子を画像に残しておくと、自分の部屋を客観的に振り返るのに役立ちます。毎日同じ部屋に暮らしていると、その光景が当たり前になり、汚くなっても気づけません。ところが綺麗な状態を画像に残しておけば、「前はこんなに綺麗だったのに、今は汚い」と気付けるでしょう。

一方、汚れた状態の画像を見れば、「今はこんなに綺麗になった」という片付けのモチベーションにもなります。定期的に部屋の画像を記録し、常に片付いた部屋を目指しましょう。

まとめ

一人暮らし世帯が汚部屋化すると、外から分かりにくいぶん厄介です。汚部屋化の原因の多くは部屋の主のメンタルに由来しているため、ストレスや無気力の原因が解決されなければ、汚部屋の改善は難しいでしょう。

また、一人暮らし世帯を綺麗に保つには、まず物を増やさないことが重要です。物が少なければ散らかることもないので、時間がなくとも片付けや掃除は容易になります。

部屋の記録をとるなどして自分の部屋を客観視し、片付けのモチベーションが保てれば、汚部屋化は防げるでしょう。