日本では『人形には魂が宿る』という考えが深く根付いており、人形やぬいぐるみは処分する前に、感謝の意を込めて供養をするという習慣があります。お世話になった人形・ぬいぐるみとのお別れのために、人形供養を行っている神社やお寺について紹介します。

大切にしていた人形は神社やお寺で供養を

子どもが大切にしていた人形やぬいぐるみは、遊ばなくなってからも、むやみに捨てるのは忍びないものです。人形供養は必ずしもしなければならないというわけではありませんが、今までの感謝の気持ちを込めて供養してあげると、罪悪感なくお別れできます。

神社やお寺で人形供養をしてもらうには

人形供養は、神社やお寺に依頼するのが一般的です。人形供養を行う神社・お寺では、預かった人形を清め、読経・お焚き上げなどの方法で供養してくれます。

ただし、人形供養が日本全国すべての神社・お寺で行われているわけではありません。自宅付近では対応してくれるところがない場合、遠方へ宅配便にて供養をお願いすることも可能です。

なお、人形供養を依頼するには『初穂料』という名目で費用がかかります。初穂料は、神社・お寺によって異なり、一律料金とするところのほか、人形の種類によって定めるケース・箱や袋など総量で定めるケースなど様々です。

相場としては、2000円弱~5000円程度ですが、詳しくはそれぞれの神社・お寺に確認が必要です。

人形供養祭は毎日行われていない

人形供養を受け付けている神社・お寺でも、毎日供養を行っているというところはあまりありません。毎月、日にちを決めて執り行うところや、年に一度『お祭り』として催すところなど様々です。

人形供養の申し込みも『指定された日にちのみ受け付ける』とする例もあります。持参する場合はもちろん、供養してもらう人形やぬいぐるみを送付したいという場合には、日にちだけでなく、細かい指定がなされることもあります。

納得のいく形で人形とお別れできるよう、事前にしっかりと確認しておくのがおすすめです。

関東で人形供養ができる神社、お寺

関東地区では東京都の『寛永寺 清水観音堂』と『明治神宮』、千葉県の本光寺で人形供養が可能です。

東京都の寛永寺 清水観音堂

東京都台東区上野にある『寛永寺 清水観音堂』は、上野駅から徒歩5分の場所にあります。清水観音堂の脇本尊は、子授け・安産・子育ての観音様としても有名で、子どもの成長を願い差し出された人形の供養が、例年9月下旬に執り行われています。

この人形供養の際に、手元にある人形も一緒に供養してくれます。公式ホームページによると、人形の受付は随時行っているとのことですが、詳細については直接問い合わせが必要です。

  • 清水観音堂
  • 住所:東京都台東区上野公園1-29
  • 電話番号:03-3821-4440
  • 開門時間:午前9時~午後5時
  • 公式サイト

東京都の明治神宮

東京都渋谷区の『明治神宮』は、明治天皇を祀る神社として全国的にも有名です。明治神宮では、平成元年より毎年秋に『人形感謝祭』として人形供養が実施されています。

明治神宮で執り行われる『人形感謝祭』は、規模が大きいのも特徴で、首都圏各地からおよそ47,500体(2017年)もの人形が集まったという実績があります。大切な人形とのお別れにふさわしい厳粛な式典では、巫女による奉奏も見事です。

なお、当日以前の明治神宮への持ち込み・預かりは行われておらず、当日のみの受付となっています。

  • 明治神宮
  • 住所:東京都渋谷区代々木神園町1-1
  • 電話番号:03-3379-5511
  • 受付時間:午前9時~午後3時
  • 公式サイト

千葉県の光胤山 本光寺

千葉県市川市の『光胤山 本光寺』では、人形だけでなく、子どものおもちゃや鯉のぼり、羽子板など、供養を幅広く受け付けているのが大きな特徴です。『人形供養大祭』は、4月の第二日曜日ですが、人形やぬいぐるみなどの受付は毎日行っています。

本光寺では、持ち込み・宅配便のいずれでも人形を預けられますが、どちらの場合でもインターネットからの事前予約が必要です。

また、『人形供養大祭』当日に人形を持参することも可能ですが、事前の申し込みがない場合には、当日持参しても供養してもらえません。

料金設定も供養してもらうものによって異なりますので、ホームページで確認してください。

  • 光胤山 本光寺
  • 住所:千葉県市川市大野町3-1695-1
  • 電話番号:047-337-8324
  • 受付時間:24時間インターネットによる受付
  • 公式サイト

東海、近畿で人形供養ができる神社、お寺

東海・近畿地方では、愛知県の『長久山 実成寺』と京都府の『宝鏡寺』、大阪府の『天神社』で人形供養ができます

愛知県の長久山 実成寺

長久山実成寺は、愛知県あま市の日蓮宗のお寺です。遺品や思い出品の供養として、人形供養も行っています。信仰する人々を歓迎する意味も込めて、お寺の門は24時間365日解放されているのが、実成寺の特徴です。

人形供養など、思い出品の供養に関する詳細は、公式サイトには記載されておりません。費用などの問い合わせや、申し込みに関しては、電話もしくはメールでの問い合わせが必須となっています。

  • 長久山 実成寺
  • 住所:愛知県あま市中萱津南宿 中萱津南宿254
  • 電話番号:052-441-9119
  • 開門時間:24時間
  • 公式サイト

京都府の宝鏡寺

尼門跡寺院である『宝鏡寺』は、歴史的に御所より人形が贈られたという時代背景があり、『人形の寺』という呼び名とともに数多くの人形が所蔵されているのが特徴です。

こうしたゆかりもあり、例年10月には総供養として『人形供養祭』が行われています。

人形供養の申し込みは随時可能で、10月の『人形供養祭』以外でも、依頼品がある程度集まったら供養してくれます。直接持参するほか、宅配便で送ることも可能です。

  • 宝鏡寺門跡
  • 住所:京都市上京区寺之内通堀川東入ル百々町547
  • 電話番号:075-451-1550
  • 受付時間:午前10時~午後3時(人形供養祭当日は10時から10時30分)
  • 公式サイト

大阪府の天神社

大阪府門真市の天神社は、ひな人形の起源とされる『少彦名命(すくなひこなのみこと)』を祀るなど、人形と縁のある神社のひとつです。人形の受付は随時行っていますが、持ち込みの場合には、事前に天神社に確認の連絡が必要となっています。

なお、年末年始(12月27日~1月5日)および秋期例大祭(10月14日~18日)は、供養の受付が行われていません。特に、遠方から人形供養を依頼する場合には、この期間を避けるようにしてください。

  • 天神社
  • 住所:大阪府門真市月出町22-2
  • 電話番号:06-6900-4955
  • 受付時間:午前9時~午後4時
  • 公式サイト

中国、九州で人形供養ができる神社、お寺

中国・九州地方の寺院・お寺で人形供養ができるところとして、岡山県の『由加神社本宮』、福岡県の『曩祖八幡宮(のうそはちまんぐう)』、広島県の『大山神社』があります。

岡山県の由加神社本宮

厄除け総本山としても地元で有名な『由加神社』では、随時人形供養の受付を行っています。境内だけでなく、表参道の『太助茶屋』でも申し込みが可能です。

申し込み多数の場合は、随時供養(お祓い・ご供養・焼納)を行うほか、毎月24日には読み上げ供養を行っています。まずは、電話あるいはメールでの問い合わせてみてください。

なお、12月25日から2月12日までは、お正月の兼ね合いで人形供養の受付が休止されます。年末年始だけでなく、2月にかかるまで受付が行われていませんので、注意が必要です。

  • 由加神社本宮
  • 住所: 岡山県倉敷市児島由加山2852
  • 電話番号:086-477-3001
  • 受付時間:午前9時~午後4時
  • 公式サイト

福岡県の曩祖八幡宮

『曩祖八幡宮(のうそはちまんぐう)』は、福岡県飯塚市の神社で、氏神様でもあります。飯塚市の名前の由来になったというエピソードを持つ、歴史ある神社です。例年5月の第二日曜日に『人形感謝祭』として人形供養を執り行っています。

人形の受付は、3月頃より開始するのが通例で、社務所への持ち込みという形で行われています。詳しくは神社に電話・メールで確認してください。

  • 曩祖八幡宮
  • 住所:福岡県飯塚市宮町2-3
  • 電話番号:0948-22-0511
  • 受付時間:午前9時~午後5時
  • 公式サイト

広島県の大山神社

建築の神様として名高い『大山神社』は、広島県尾道市にあり、因島最古とされる歴史ある神社です。例年3月3日に『人形供養祭』を実施しています。ひな人形・五月人形といった節句人形のほかに、西洋人形やぬいぐるみなども受付可能です。

申し込みは随時可能ですが、社務所への持参が原則です。予約は不要となっています。なお、大山神社は耳の神様でもあることから、3月3日の人形供養祭当日には耳祭りも催されています。

  • 大山神社
  • 住所:広島県尾道市因島土生町1424-2
  • 電話番号:0845-22-0827
  • 受付時間:午前9時~午後5時
  • 公式サイト

まとめ

これまで大切にしていた人形やぬいぐるみは、むやみに捨てるのではなく、『ありがとう』の気持ちをこめてしっかり供養してあげましょう。神社やお寺によっては、持ち込める量や大きさが決まっているところもあるので、事前に問い合わせてみてください。