1人暮らしをはじめたばかりの頃は、どうやって部屋を片付けて良いかわからず、気づいたら汚部屋になっているなんて経験をした人もいるでしょう。汚部屋になってしまう原因や、片付けの方法について学び、快適な部屋を手に入れてください。

部屋の片付けを始められない理由

片付けの仕方がわからない人にとって、部屋の片付けに着手すること自体が最初の関門になります。

どうして片付けを始められないのか、まずはその理由について考えてみましょう。

どこから手を付けたらいいかわからない

掃除機をかけたりゴミ出ししたり、あるいは窓ふきやエアコンの掃除など、部屋を掃除するといっても様々な作業があります。

掃除をしようにもどこから手をつけて良いかわからず、結局そのまま放置されてしまっているというケースが少なくありません。そして部屋が汚れるとさらに掃除をするのが難しくなっているという悪循環に陥ってしまうのです。

着手してみたもののなかなか綺麗にならずに時間だけが経ってしまい、掃除に対するモチベーションが落ちてしまいます。掃除そのものを諦めてしまうというような経験をしてしまうと、片付け自体が嫌いになってしまうでしょう。

すぐ元に戻ると思ってやる気がわかない

部屋を綺麗にしても、きちんと整頓をしておかなければまた数日で同じ状態になってしまいます。何度片付けてもまた元通りの汚部屋になってしまうため、面倒臭くなってしまっている人も少なくないようです。

片付けの本番は、その後に『散らかさない』ことです。散らかさない習慣ができていないと「いくら片付けを行ってもまた元に戻ってしまうのだからやらなくても良いか」となってしまいます。『片付けは部屋の中を整理整頓することだけではなく、整頓した状態をキープすること』を意識しましょう。

片付けられない理由を認識しよう

なかなか片付けに手がつけられない具体的な理由を尋ねても、はっきりとは出てこない人も多いのではないでしょうか?

片付けられない理由を具体的にすることで自身の生活上での問題点と向き合い、綺麗な部屋を取り戻すきっかけにしましょう。

掃除をする時間がない

日々の仕事に追われて、家の帰ってきてから掃除する時間が取れない人もいるでしょう。帰宅するのが夜だと、近隣への騒音を配慮して掃除機をかけるのもためらわれてしまいます。

休日は休日で、日用品の買い物をしたり、友人と遊んだりで家にいないことの方が多い人もいます。平日も休日も家にいるのは朝と夜だけでは掃除をすることは難しいでしょう。

まとまった時間が取れないというのも、片付けができない原因の1つなのです。

ADHDなど発達障害が原因

片付けをしている途中で見つけた本や、アルバムに夢中になってしまった経験は誰しもあるでしょう。しかし、何度もそれを繰り返してしまって、片付けがまったく進まないといった場合はADHDなどの発達障害が原因であることも考えられます。

大人になってから発達障害を持つと自覚する人が、最近は増えてきているようです。忘れっぽい、じっとしていられない、1つのことを継続的に続けられないといったような症状が日常生活に支障をきたすレベルで表れている場合は、1度専門病院で検査を受けてみると良いかもしれません。

発達障害だと自覚ができれば、例えば「一定期間使わなかったものは捨てるようにする」といったルール作りや、物を置く場所にはラベルでわかりやすく書いておくなどの対処もしやすくなりますし、周りの理解を得られやすくなります。

気力がわかないならうつ病の可能性も

部屋が散らかってしまうのは、単にだらしがないだけが理由ではありません。仕事や人間関係のストレスや、親しい人間の喪失などで心に問題を抱え、中にはうつ病を発生してしまっている可能性があるのです。

うつ病は軽度のものであれば単なる気落ちと見分けがつきません。さらに最近では『新型うつ病』と呼ばれる非定形型のうつ病患者も増え始めていて、周囲はおろか自分自身でも鬱病という自覚が持てないことがあります。

以前と比べて活力が落ちたと感じたり、無気力状態が長く続いている場合は、うつ病を疑っても良いかもしれません。

片付けへのやる気を出すのが重要

片付けは面倒な上に報酬があるわけでもないので、他の作業と違ってやる気が出にくいのも作業に移れない原因です。

片付けでやる気を出すために、片付けの報酬について考えてみてはどうでしょうか?

キレイな部屋での生活を想像する

片付けで得られる報酬は、なんといっても綺麗な住まいです。広々とした部屋で観葉植物やおしゃれなインテリアに囲まれ、ゆうゆうと読書をしたりテレビを見たりして、くつろぐ自分の姿を想像してみてください。同じ物件とは思えない程に住み心地よい部屋はとても魅力的に思えるでしょう。

より具体的に想像するなら、本やインターネットでおしゃれな家具を飾った住居や、インテリアの画像を見てみると良いかもしれません。

カビや埃などの衛生上の問題も解消します。現在の部屋で不満に思っていることをリストにして、綺麗になった場合にそれが解消されるのかどうかも考えてみると良いでしょう。

ビフォーアフター画像を見る

インターネットや雑誌で、部屋のビフォーアフター画像を見てみるのも有効です。足の踏み場もないほど汚い部屋がまったく様変わりするのを見ると「自分もやってみよう」とやる気がわいてきます。

部屋全体でなくても、テーブルの上やベッドの上、クローゼットなどの各部分にスポットを当てたビフォーアフター画像は、どのように整頓すれば良いかの見本にもなるでしょう。

片付けを行った人がどういう基準で整理していったのかも説明付きの画像は、自分が片付けをする時の参考になります。

汚部屋の大きな原因は物の多さ

汚部屋になってしまう最たる原因は、物の多さです。物が多いと片付けるのも面倒になってしまいますし、管理が行き届かず、とりあえずの気持ちで床など本来収納場所ではない場所を物の置き場にしてしまいます。

そうして床に物を置く事になれてしまうと自分の衛生観念がマヒしていき、やがて足の踏み場もないほど物が溢れた部屋になってしまうのです。そうならないための第一歩としてまずは物を増やさない工夫をしてみましょう。

不要なものを処分

手始めに、部屋の中にある明らかに不要なものを処分していきましょう。弁当の容器や空のペットボトル、古いチラシやDMなどです。床の上にある不要物を撤去していくだけでも室内ががらりと変わるのが実感できます。

それから、古着やゲーム機、本など不要かどうかわからないものに手を付けていきます。判断に困るようなら、次のような基準に従って、捨てるか取っておくかを決めると良いでしょう。

念のために取っておくのはNG

服や化粧品などは「ひょっとしたら、後で使う機会がくるかもしれない」という考えがよぎります。太ってしまい着られなくなった服や、使用頻度の低い調理器具などは、将来的には再び使うことがあるかもしれません。

しかしそれは、「今現在は使わないもののためにスペースを消費してしまう」ということでもあります。そういったものが増えていくと、結局部屋が片付かない原因になりますので、別段高価なものでなければ必要になったらまた買うぐらいの気持ちで、思い切って捨ててしまいましょう。

特に服はトレンドや好みがあるので、例え痩せて着られるようになったとしても、その時は新しい服が売っていますし、自分の好みが変わってしまって着る気が失せるといったことも考えられます。

収納を増やさない

居住人の人数が増えるなどの理由がない限りは、収納は増やさないようにしましょう。収納が増えればその分だけ部屋の中が狭くなります。むしろ収納スペースは片付けに合わせて減らしていくのもポイントです。片付けを始めると決めたら、最初は古い収納を捨てるという方法もありでしょう。

収納スペースを増やせば一見整理されているように見えますが、実際には物が増えるだけで何も片付いていません。フリースペースが圧迫されて部屋の中が狭くなり、窮屈さを感じてしまうでしょう。住みやすいスペースを作るという当初の目的から外れてしまいます。

空いたスペースを清掃

ある程度不要品の処分が終わって部屋の空間に余裕が出てきたら、清掃を開始します。掃除機や雑巾で汚れた部分を綺麗にしていきましょう。

ポイントは『上から下』『奥から入り口へ』です。床をはじめに掃除しても、その後に天井やエアコンを掃除して埃が舞ってはまた床を掃除することになります。奧を先に掃除しておくことで、汚れた足で掃除したスペースを踏むこともなくなるので効率的に掃除ができます。

掃除中に挫折しないコツ

掃除はとても面倒な作業です。途中で飽きて投げ出したり、妥協する可能性も低くはありません。

そうならないように、最後まで掃除をやりきるコツを着手前に知っておきましょう。

小さく始めて頑張り過ぎない

まるで家を入居したばかりの頃のようにピカピカに掃除しようとがんばる人もいますが、始める前に極端にハードルを上げるのも挫折の原因になってしまうのでおすすめしません。

掃除のコツは「今日はここだけでいい」と、小さく始めることです。今日はゴミ捨てだけ、明日は掃除機をかけるだけ、というふうに毎日10分から1時間程度の少しずつに区切って掃除をしていけば、挫折の可能性も下がりますし、掃除も習慣化します。

音楽をかけて気分を盛り上げる

好きな音楽をかけて楽しい気持ちになれば、掃除のストレスも和らぎます。軽い音楽の方が、掃除も軽快にできるかもしれません。ヒップホップやカントリー系の軽快なリズムと共に、効率的に掃除を進めてみてはいかがでしょうか。

アルバムが終わるまでは集中する、と時間を区切るためのルールとして用いてみるのも有効です。音楽に夢中になっている間に、あっという間に部屋が綺麗になっているという体験ができるかもしれません。

ご褒美を決めておく

片付けが終わったら旅行に行く、レストランでちょっと贅沢なご飯を食べるといったような具体的な成功報酬を自分に用意しておけば、モチベーションもあがるでしょう。

金銭面が足枷になってしまうようなら、半日は思いっきりくつろいでみる、好きな映画を見るなどの自分にとってリラックスできる時間を報酬にしても良いかもしれません。ご褒美があることで、イヤな作業もがんばれるようになります。

汚部屋に戻らない対策

片付けは、部屋を綺麗にして終わりではありません。ダイエットで言えば、まだ元の体重に戻ったという段階です。それも十分に喜ばしいのですが、大切なのはここから元に戻さないことなので、再び散らかることがないようにしっかりと対策を立てましょう。

物を増やさない

前述したように、汚部屋の原因は物が多すぎることによって管理が行き届かなくなることです。同じ生活を送っていればまた散らかってきてしまうので、物を増やさないことを習慣化しましょう。

例えば、手の届く範囲にゴミ箱を1つ、新しく置いてみてはいかがでしょうか?ゴミをすぐにその辺りに置いてしまうのは、近くにゴミ箱がないことも原因です。ゴミ箱の配置を少し変えるだけで、床にゴミが置かれることは少なくなるでしょう。

掃除しやすい部屋づくり

置いてある物の量が多い場合や、重くて大きい物があると、掃除をするのに手間がかかってしまうので、片付けからだんだん遠ざかってしまいます。不要品の処分品はもちろん重要ですが、古い家電や大きめの収納グッズなも、買い換えてサイズをコンパクトにすることも考えましょう。

必要な物の中でもよく使う物と使用頻度の低い物とでスペースを分け、使用頻度の高いスペースの掃除回数を増やすなどすれば、掃除もしやすくなります。

掃除を習慣にする

特に散らかそうと思っていなくても、人が住んでいるだけで部屋の中は散らかっていきます。散らかさない工夫として、ちょっとした掃除を習慣化しましょう。

食べた食器はすぐに洗い場に運ぶ、使った物は元に戻す、入浴前に10分間だけ床掃除をするといった小さな習慣を身につければ散らからなくなります。

メンタルを整えることも大切

夜更かしで寝不足の毎日を送っていたり、ストレスを抱えて精神を不健康にしていると片付けが億劫になってきます。部屋を清潔に保つためには、メンタルをきちんと整えておくことも重要なポイントです。

また、掃除に対する考え方を変えて、掃除自体がストレスにならないようにしましょう。そのための具体的な方法を紹介します。

掃除へのハードルを下げる

掃除を本格的に時間を使ってやるものだと考えている人もいますが、時間を使うことにストレスを感じてしまうなら、まずはハードルを下げましょう。

『ながら作業でできる掃除』を考えると、ストレスも時間もかかりません。

歯磨きをしながら洗面台を掃除する、トイレに座りながらペーペーで拭き掃除をするといった『ながら作業』なら、大した労力もかからず気軽にできます。

他にも、出勤のついでにゴミを捨てるなどの、何かのついでにできる作業もおすすめです。

物への執着を無くす

ぼろぼろになって明らかに捨てた方が良い装飾品や、消耗品までもったいないからと節約してしまっていませんか?『物を大切に使う』という考えはとても大切ですが、大切にしすぎるあまり捨てられず、ゴミ屋敷になってしまうケースもあります。

あまりに物に執着するようだと『ためこみ症』という心の病気であることも考えられます。古い新聞や雑誌、大量の買い物袋など、明らかに使う機会のない物が大量に捨てられない場合は、溜め込みの障害を疑った方が良いかもしれません。

自力で難しいならプロの手を借りよう

片付けをしようと思っても「自分では物に思い入れがありすぎて捨てられない」ということもあります。何を捨てるのか、そして自分の部屋の状態については第三者の客観的があった方が良いのですが、近しい人にこそ自分の散らかった部屋の状態は見られたくないものです。

そんな時はプロの業者に頼んでみてはいかがでしょうか?

片付け業者に依頼する

プロの片付け業者と聞くと、オフィスビルや倉庫などといった法人向けサービスを想像してしまいがちですが、最近では個人の部屋のクリーニングを引き受けてくれる業者も増えています。引っ越しの時だけではなく、簡単なクリーニングも行っている業者もあるので、自分で掃除するのは難しい程に散らかってしまった時は頼んでみても良いでしょう。

親しい周囲に知られずに部屋を綺麗にできますし、普段は掃除できない部分まで綺麗にしてくれたり、短時間で見違えるほど綺麗にしてくれるなど様々なメリットがあります。

カウンセリングを受ける

ストレスや発達障害などの依頼者の心の問題を考えた上で、清掃の方法をアドバイスしてくれる清掃業者もあるようです。また、片付けや汚部屋の悩みについてカウンセリングを行ってくれるアドバイザーもいます。

多くの片付けられない人を見てきた経験から、その人にとって最も有効な手段を一緒に考えてくれます。理解者が周囲にいない人にとっては、心の支えにもなるでしょう。

まとめ

部屋を片付けることで、解放的でおしゃれな空間を手に入れることができます。衛生面の不安も解消されるので着手してみてください。どこから手を付ければ良いかわからない場合は、まずは部屋にある物を必要かそうでないかで分けると良いでしょう。

部屋が散らかる原因の1番の要因は、物の置きすぎによるものです。1度片付けたからといって安心せずに、物を増やさないことと、こまめに掃除をする習慣を身につけることが汚部屋にしないためのポイントです。自力では難しい場合は、プロの手を借りることも考えた方が良いかもしれません。