ゴミ屋敷の片付けをする前に、取り掛からなければならないのが害虫駆除です。しかし、虫があまりにも大量だったり、広範囲にわたったりしている場合は、素人では駆除しきれないかもしれません。ゴミ屋敷を片付ける際、害虫問題にはどう対処すればよいのでしょうか。

ゴミ屋敷掃除の課題は害虫

ゴミ屋敷を片付けようと決めた場合、大きな課題となるのが害虫の駆除です。特に生ゴミも大量に溜め込んでいるゴミ屋敷なら、見たこともないほど大量の虫に出会うかもしれません。

ゴミ屋敷の片付けで障害となる害虫問題をみてみましょう。

ゴミ屋敷は害虫の住処

ゴミがそこら中に溢れているゴミ屋敷では、多くの害虫が発生します。次に挙げるのは、ゴミ屋敷に発生しがちな害虫です。

  • ゴキブリ
  • ハエ・ウジ
  • チャタテムシ
  • クモなど

まずゴミ屋敷に必ずいるのがゴキブリです。生命力・繁殖力が強いため、汚いゴミ屋敷なら100匹以上見かけることもあります。

ハエは腐敗した食べ物を好むため、生ゴミにたかります。卵から成虫になるまでわずか1週間程度のため、急激に繁殖するのが特徴です。

チャタテムシは湿気の多い場所に発生します。大きさはゴマ粒程度ですが、大量に発生するため、気持ちのよいものではありません。

また、ゴキブリが多いゴミ屋敷なら、ゴキブリをエサにしているアシダカグモも大量に発生します。このクモは本来害虫を食べてくれる益虫なのですが、サイズが大きくグロテスクなため、家主の意向では駆除の対象になります。

虫の退治が億劫で掃除をしない悪循環

虫が湧いて出るほど汚い部屋では、掃除も大変です。片付けようという気分になったとしても、ちょっと動けばゴキブリが走り回るような環境では、掃除が嫌になるでしょう。

きちんと片付けをして部屋を綺麗にすれば、嫌な虫は発生しません。しかし、片付けのためにはまず虫の退治から始めねばならず、その手間を考えただけで片付けの気力がなくなってしまいます。

ゴミ屋敷では掃除をしないから虫が発生し、虫がいるから掃除をしないという悪循環にはまりやすくなってしまうのです。

健康への害も大きい

見た目にもグロテスクな虫が、家中を這いまわるのは精神に障りますが、まず心配なのが健康被害です。特にゴミ屋敷に必ずといっていいほどはびこるゴキブリは、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌など多数の病原菌を持っています。ゴキブリだらけの家に生活すれば、深刻な健康被害を受ける恐れがあるでしょう。

また、細菌感染するというような直接的な被害ではなくとも、害虫の糞や死骸も健康にはよくありません。知らずに触れたり吸い込んだりすれば、アレルギーや気管支喘息、アトピーを発症するおそれがあります。

ゴミ屋敷に長く住めば住むほど、健康被害のリスクは高まるでしょう。

掃除前に害虫への備えを

ゴミ屋敷の片付けを始める前に、まず行っておきたいのが害虫駆除です。物を持ち上げる度に、ゴキブリやよくわからない害虫が出てくるのは大きなストレスとなり、作業が進みません。できれば片付け前日から害虫駆除の準備を始め、害虫を減らしておきましょう。

部屋全体を殺虫

害虫駆除を徹底するためには、部屋全体を殺虫することが重要です。まずは霧状の設置型殺虫剤を用意し、害虫を駆除します。本来なら部屋のサイズに合わせて1つか2つ利用すればよいですが、ゴミ屋敷の害虫は通常の家よりもはるかに大量です。

殺虫剤も多めに用意し、害虫がほかの部屋に逃げ出さないよう、入り口には必ず1つ設置することをおすすめします。

この霧状殺虫剤だけで、小さな虫やゴキブリは全滅するはずです。大きなゴキブリもかなり弱っているはずなので、見つけても退治は容易でしょう。

マスク、長袖長ズボン等で完全防備

前述のとおり害虫は伝染病や疫病を持っています。どこに何が潜むかわからないゴミ屋敷では、万が一に備えて長袖・長ズボンを着用し、肌を出さないようにしましょう。

また、空気中にもゴキブリの糞や死骸カスが舞っているかもしれません。必ずマスクやゴーグルを着用し、完全防備で片付けに臨むようにしましょう。

定期的に換気

ゴミ屋敷の片付けはそう簡単には終わりません。せっせと作業をしていると時間が分からなくなるかもしれませんが、定期的に空気を入れ替えるよう注意しましょう。

ゴミ屋敷でゴミを撤去していれば、ホコリや害虫の糞なども舞い上がります。片付け中の部屋の空気は常に汚く、息を吸うだけで有害と考えましょう。「ゴミ屋敷の片付け後、体調を崩してしまった」ということにならないよう、作業中でも手を止めて、換気を徹底してください。

業者へ依頼することも検討

「大量の害虫と格闘しなければならない」と考えるだけで、片付けをする気が失せる人もいるでしょう。害虫駆除しなければゴミ屋敷が片づけられない場合、害虫駆除だけでも業者に任せると安心です。害虫駆除を業者に依頼するメリットについてみてみましょう。

大量の害虫、目に見えない害虫も退治

害虫駆除業者に任せれば、大量の害虫から隠れている害虫まで根絶してくれます。

一般で売られている殺虫剤では、ゴミ屋敷に大量発生した多種多様な害虫を根本からは駆除できません。ところが、専門業者は最新の駆除剤を使っているうえ、害虫の量や種類に合わせて駆除剤の強度・時間・使用方法を設定してくれます。

そのため効率よく害虫を駆除でき、たとえどこかに隠れていたとしても、すべての害虫を一掃してくれるでしょう。

近隣へのケアも任せられる

家全体を害虫駆除する場合、近隣の家へお断りしておく必要があります。しかし、日頃から迷惑をかけている身としては、近所の家に行くだけでも負担に感じることでしょう。

害虫駆除専門の業者に依頼した場合、このような近隣へのケアも業者が請け負ってくれます。特にゴミ屋敷を専門に扱う特殊業者なら、この手のトラブル対応には慣れているので安心です。

ただし、サービス内容は業者によって異なるので、気になる人はあらかじめ近隣への対応はどうなっているか、確認しておくとよいでしょう。

虫に悩まない部屋の作り方

虫は一度発生すると、完全に駆除するのが難しくなります。不快な虫と出会わずに暮らすには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

こまめな掃除とゴミ捨てが第一

家に害虫が発生するのは、虫の好むエサがあるからです。まずは虫のエサになりそうなゴミなどを排除し、清潔さを保ちましょう。

とくにゴキブリは雑食性で、ダンボール、髪の毛、ホコリなどもエサにします。掃除はなるべくこまめに行い、ゴキブリを寄せ付けないことが重要です。

また、宅配便などで使ったダンボールは、ゴキブリが最も好む場所です。積み重ねられたダンボールはゴキブリにとっては絶好の隠れ場所となるため、知らないうちにゴキブリの巣が出来ているかもしれません。不要なダンボールやゴミは速やかに撤去し、害虫に隠れ家を与えないようにしましょう。

空気を入れ替える

虫の多くは、湿気を好みます。なるべくこまめに換気を行い、湿気を籠らせないよう注意しましょう。特に湿度の多い時期は、虫が繁殖しやすくなります。常に部屋の風通しを意識して、換気を徹底しましょう。

まとめ

害虫が発生したゴミ屋敷では、片付け以前に害虫駆除が大きな問題となります。害虫がいれば片付けに集中できませんし、その場にいるだけで健康被害を受けるかもしれません。

害虫が多い、自分ではどうしても駆除できないという時は、害虫駆除の専門業者に任せるのが一番です。プロならスムーズに害虫を駆除し、片付けできる状態にしてくれるでしょう。

虫は暗い場所・湿気の多い場所・エサのある場所に発生します。ゴミ屋敷を片付けた後は、再び虫と遭遇せずに済むよう、綺麗で風通しのよい家を保つようにしましょう。