最近は片付けられない人がますます増えているようです。ゴミ屋敷になっている家を片付けたい人や、このままではいずれゴミ屋敷化するのではないかと不安な人のために、ゴミ屋敷の片付け方と、綺麗な家を維持するためのポイントについて紹介します。

片付けの決意をすることが一番のハードル

少しぐらい散らかったものを片付けるのなら簡単ですが、ゴミ屋敷レベルになってしまうと片付けを決心するのも一苦労です。ゴミ屋敷化してしまう理由や、ゴミ屋敷から脱出できない原因についてまずは解説します。

無気力からゴミ屋敷化することも

近年は、無気力な若者が増えているとも言われています。若者に増えている非定型うつ病や、日々の仕事や人付き合いから来る過剰なストレスによって、心が正しく機能しなくなっているのも原因かもしれません。

若者だけでなく、高齢者の無気力化も顕著化してきています。パートナーに先に旅立たれた人や、家族と疎遠になり孤独になってしまい、何をする気力もわかなくなってしまうのです。そういった高齢者の住まいがゴミ屋敷化することも、度々ニュースで取り上げられています。

ゴミが多すぎてやる気が維持できない

ゴミが多ければそれだけ片付けにも時間がかかります。小一時間程度の片付けならできる人も多いですが、片付けに数日かかるような場合、片付けに取りかかったとしてもモチベーションが維持できないのです。

結果、片付けること自体が面倒になってしまい、ゴミが増えていく一方になってしまいます。

頼れる人がいない

これも高齢者に見られる傾向ですが、体力が落ちてしまうと物を運び出すのも苦労してしまいます。そのため、高齢者が片付けを行うのであれば、そういった作業面で手伝ってくれる人が必要です。

しかし、1人暮らしの高齢者の中には誰にも頼ることができず、片付けたいと思っていてもどうすることもできない人もいます。

1人暮らしを始めたばかりの大学生や新社会人の部屋も、ゴミ屋敷になる割合が高いようです。彼らは多忙になりがちな上、片付けや収納方法がそもそもわからずに、どのように整理したら綺麗になるのかを知らないことがあります。

肉親には心配かけたくないために部屋の現状を報告できず、また相談できるような知人もいない場合、ゴミ屋敷化している部屋をどうすることもできません。

ゴミ屋敷解決の第一歩は捨てることから

実際にゴミ屋敷になってしまった場合、解決には様々な作業が必要です。数ある作業のうちどれから始めれば良いのかというと、まずは『捨てる』という作業から始めた方が良いでしょう。その理由を解説します。

ゴミが無くならないと何もできない

床を掃除するにせよ、溜まったゴミを外に出すにせよ、まずは家の中のゴミがなくならないと何もできません。

明らかにゴミだと判断できる物から処分して、部屋から玄関、そして風呂やキッチンといった水場への通路を確保しましょう。部屋を綺麗にするにしても、まずはゴミを片付けて掃除をするためのスペースを確保する必要があります。まずは家の中からゴミを排除することがゴミ屋敷脱出の第一歩です。

必要不要を判断せず物を減らす

足の踏み場もないほどに住まいが散らかっている場合、必要不要を判断してから捨てていたのでは掃除が一向に終わりません。

生活必需品や貴重品以外は、買い換えるつもりですべて捨ててしまいましょう。

どうしても判断に困る物のために、保留ボックスのような物を置きつつ作業しても良いかもしれません。ただし、保留品があまりに多くなるようなら、心を鬼にして捨ててしまった方が良さそうです。

ゴミ屋敷の片付けは自力では困難

ゴミ屋敷の片付けを決心したとしても、1人で行うのはまず不可能です。どういった部分が片付けを困難にしているのか、その理由について解説します。

ゴミの量が膨大な場合が多い

ゴミ屋敷は大量のゴミで溢れかえっていて、1人でやろうとすると数日間はかかりきりになります。広い家の場合は1週間以上の時間を要するでしょう。

平日仕事をしている社会人には、作業時間の確保が困難です。また、棚やソファの大型家具の運搬や解体は、1人で行うのは難しいでしょう。

最低でも3人以上の人員は、ゴミ屋敷の片付けに確保しておきたいところです。連休などを利用して一気にやってしまいましょう。

害虫、害獣の対策

ゴキブリやハエといった害虫、ネズミなどの害獣は、家を掃除した程度では排除ができません。

片付け後にも巣を作られないよう、きちんと排除しておく必要があります。その排除は、個人の技術や知識では難しいでしょう。

害虫・害獣被害が顕著なら、健康被害を考慮して虫の駆除だけでも業者に依頼することをおすすめします。

途中で挫折してしまう

家の片付けというのは基本的にストレスがかかる上に、片付けたところで賃金が発生するわけでもありません。よほど精神が強い動機や意思がなければ、モチベーションは徐々に下がっていきます。

作業量のあまりの多さに、1度は取りかかったものの途中で挫折してしまう人が、非常に多いようです。ある程度片付いた段階で「ここまで綺麗にすれば良いだろう」と止めてしまい、そしてしばらくすれば元に戻ってしまう事例も多くあります。

プロに相談することが重要

個人で片付けをすることの難しさはわかっていただけたでしょうか。個人でゴミ屋敷を片付けるのはほぼ不可能ですし、できたとしても時間と手間がかかります。

そのため、金銭面に多少余裕があるようなら、プロに頼んだ方がお得です。相談するだけならほぼ無料の場合が多いので、積極的に利用を検討してみてはいかがでしょうか。

自治体の相談窓口を利用

最近ではゴミ屋敷に関する条例や窓口を設けている自治体が出てきています。近隣住民からの相談を受けてゴミ屋敷に勧告を行うこともありますが、ゴミ屋敷の住人が相談するための窓口では、片付け方法などを指導してくれる場合があるようです。

業者の紹介だけの場合もありますし、直接訪問してくれる場合もあります。自治体によってどの程度までサポートしてくれるかは異なるようです。まずは自治体のホームページから確認してみることをおすすめします。

ゴミ屋敷清掃の専門業者

ゴミの処分や、家のクリーニングをしてくれる片付け専門業者に依頼するという方法もあります。昔はお店やオフィスなどの法人向けのサービスでしたが、最近では一軒家やワンルームの片付けまでする個人向けの業者が増えているようです。

お金はかかりますが、個人がやるよりも短時間で隅々まで綺麗にしてくれます。片付けの時間がない、モチベーションが維持できないといった人は、見積りだけでも頼んでみても良いかもしれません。

高齢者が亡くなったあとにゴミ屋敷になっているような状態であれば、片付けの他にも遺品整理や相続の手続きを行ってくれる業者もありますので、ゴミ屋敷の住人でなくても、相談してみてはどうでしょうか。

カウンセリングサービスもある

収納方法についてアドバイスをしてくれる、片付け整理収納アドバイザーという資格もあります。片付けについては最初の1度程度は手伝ってくれますが、その後はアドバイスに沿ってカウンセリングを受けながら、再びゴミ屋敷にしないことを目指します。

料金も1万円未満で利用できるサービスが多いので、ワンルームや、ゴミの散らかりようがまだ軽度であれば、利用してみても良いかもしれません。

片付けは専門業者に依頼がおすすめ

これまで紹介した業者を使うメリットから、ゴミ屋敷の掃除は、片付け業者に依頼をすることをおすすめします。

その場合、できるだけ良いサービスを受けられるようにするにはどうすれば良いでしょうか?依頼方法や注意点について見ていきましょう。

複数業者に相談し相見積りを取る

業者といえど数多くあり、それぞれの業者によって得意なこと、不得意なことが違い、サービスに対する値段もまちまちです。ゴミ屋敷でも、廃品処分を中心にやって欲しいのか、クリーニング中心かでも費用は大きく変わります。

そこで業者を選ぶ基準として、業者に相談する時は複数の業者から見積りを取るようにしましょう。そうすることで料金やサービスを比較することができます。業者に頼む際の相場がわかりますし、極端に差額がある怪しい業者を最初から弾くことが可能です。

また、見積もりに対する疑問点などを業者に聞いて、各業者の対応を比較してみましょう。対応が良い業者の方が、優良業者である可能性が高いためです。

悪徳業者に注意

片付け業者に頼む際に注意しなければならないのが、悪徳業者です。法外な料金の請求やサービスに手を抜かれることもあります。

見積もり時点で安い価格を出しておきながら、実際に支払う段階になって、色々と理由をつけて追加料金を請求してくる場合もあります。そのため、相見積りを取って、最初から極端に安い業者や、見積り項目に曖昧な点が多い業者は依頼対象から外すことが重要になります。

また、認可がない違法業者は、勝手にゴミを不法投棄することもあるようです。その場合、投棄されたゴミの処分費用は依頼者に請求されてしまいます。悪徳業者に依頼することは避けなければならないでしょう。

掃除にかかる費用はどれくらい?

実際に業者に頼む場合、費用はどのぐらいかかるのでしょうか?

細かい部分は業者によって異なりますが、大まかな算出方法は同じところが多いので、どういった部分が査定に関わってくるかをまとめてみました。

部屋の広さとゴミの量で決まる

片付けの基準の1つになるのが、片付ける部屋の数と広さになります。それによって派遣する人数と作業時間に関わってくるからです。

ワンルーム程度であれば数万円、5LDKなどの広い一軒屋であれば30万円以上かかることもあります。簡易見積もりを出す際にも、部屋の広さから計算する業者が多いでしょう。

もう1つのポイントが排出されるゴミの量です。ゴミの量についてはkg単位で計算する業者もありますが、最近はカゴ車・軽トラック・2tトラックとゴミを配送する車によって差別化するパターンが多いようです。

それに加えて、ゴミの中でも粗大ゴミや家電など捨て方が特殊な場合は別料金を請求されるのが一般的になっています。

害虫駆除など別途料金がかかる場合も

ゴキブリやネズミなどの害虫・害獣の住処になっている場合は、本来のクリーニングとは別に殺菌をしなければなりません。

その場合は、特殊清掃の資格を持つ人の力を借りなければならないために、別途料金がかかるケースがあります。生ゴミが腐ったりして床に染みこんでいる場合も、放置しておくと虫が沸いたり、有害なガスを発生させる可能性があるため、特殊清掃が必要です。

特殊清掃は、ワンルームでも5万円前後、一軒家になると50万円かかるケースもあり、片付けよりも高額な費用がかかってしまいます。あらかじめ業者に確認しておくと良いでしょう。

二度とゴミ屋敷に戻らないことが重要

自力や業者を利用してゴミ屋敷を綺麗にできたとしても、数ヶ月してまた元のゴミ屋敷になってしまっては意味がありません。

そこで、ゴミ屋敷を1度掃除したら、2度とゴミ屋敷にしないための習慣作りがとても大切です。

物を溜めない、増やさない

家の中が散らかる理由は『収納容量以上に物があること』です。これはゴミ屋敷に限ったことではありません。

物がたくさんあると、管理が大変になります。本当に必要な物を探し出したり、あふれないように収納スペースを考えたりしながら整理整頓しなければなりません。そのうち、物をしまうこと自体が面倒になってその辺りに置くようになってしまいます。

部屋に置く物の数は上限を決めて、それを越えたら不要なものは処分することが、ゴミ屋敷化を防ぐ第一歩です。

掃除の習慣づくり

掃除の時間以外は物を片付けない人がよくいますが、それは間違いです。

1度に掃除をしようとすると、半日から1日程度の時間を掃除のために使わなければなりません。日常生活が多忙でなかなか掃除自体ができなくなると、掃除をしないまま部屋が一方的に散らかっていってしまいます。

しかし、毎日5分、10分程度の時間であれば何かの作業の合間にもやりやすいでしょう。普段から散らかさない・すぐ片付ける習慣を作っておけば、まとまって掃除をする必要はなくなります。

今日はトイレ、明日はキッチンといった具合に作業毎に分けて効率よくやっていくと、掃除をする習慣も身につきますし、部屋を清潔に保てるでしょう。

病院に行くことも選択肢のひとつ

「片付けようと思っているのにどうしてもやる気が出ない」「何をする気力も沸かない」というような人もいるでしょう。

家の中がゴミ屋敷化している、水場にカビが生えているなどの異常だという自覚症状があるにもかかわらず片付けに手がつかない場合、心になんらかの異常がある可能性を疑ってみても良さそうです。特に1人暮らしをしていて誰とも接触がないような環境では、心の病気はどんどん進行してしまいます。

また、自分では気づきにくいストレスを知らずに溜めてしまうこともあります。そういった人は1度、病院に行って相談してみることをおすすめします。

うつ病やADHDなど心の病が原因かも

うつ病は現代人がかかる心の病として知られていて、倦怠感などの軽い症状から、無気力や体の痛み、最悪の場合には自殺にも及んでしまうほどの重いものまで症状はさまざまです。

新型うつ病の中には、職場だけでのみ症状を発症させるような症例もあり、周囲はおろか本人にも理解がしにくい現状があります。

また、ADHD(注意欠如・多動性障害)は、子供だけでなく大人でもかかっている人が一定以上います。

すぐに気が散って1つの作業に集中できない、衝動的な感情を押さえられないといった症状が特徴的で、いずれの場合も、本人にいくら片付ける意思があったとしてもどうにもならないため、病院にいって処方を受ける必要があるでしょう。

認知症によりゴミ屋敷化する独居老人も多い

1人暮らしの高齢者の住まいがゴミ屋敷化してしまう要因の1つに認知症があります。アルツハイマーやレビー小体型認知症、血管性認知症といった種類があり、現代医学では治療が困難です。

認知症の症状は色々ありますが、特徴的なのは『物忘れ』です。同じ話を繰り返す、よくなくし物をするといった症状や、怒りっぽくなったり、簡単な計算ができなくなったりします。

認知症が進行すると短期記憶を忘れっぽくなり、日常生活に支障をきたし始めるでしょう。例えば、友人と買い物に行って建て替えてもらったことを忘れ、後日友人が請求しても「自分からお金を取ろうとしてる」と思い込んでしまうようになります。

認知症は自分では気づきにくいため、周囲の人間が普段からよく見ていてあげることが早期発見の鍵です。

まとめ

現代人は忙しい人が多く、なかなか家の中を片付ける時間が取れないことから、住まいがゴミ屋敷化してしまう人が年々増加しています。

ひとたびゴミ屋敷になってしまうと、片付けはさらに困難になります。自分では無理だと判断した場合、片付け業者への依頼を考えましょう。

ゴミ屋敷にしないためには、物を増やさない、作業の合間に軽い掃除をするなどの片付けの習慣をつけることが大切です。どうしてもできない場合は、認知症やうつ病といった病を疑った方が良いかもしれません。症状の軽いうちに病院に行って対策を立てることが重要になります。