家がゴミ屋敷になっていて、片付けも不可能なほどに散らかっている場合は、引越しをうまく利用して、新しい生活をスタートしてみてはどうでしょうか?引越す前の物の処分方法や退去までの流れ、注意事項について解説していきます。

ゴミ屋敷脱出に引越しがオススメ

ゴミ屋敷問題は、日本各地で増えていて、社会問題にまでなっています。家の中が汚いと、柱や床の老朽化も早くなり、近隣住民とトラブルに発展するケースもあるでしょう。そこで引越をして、生活をいったんリセットしてみるのがおすすめです。

期限を作ることで強制力になる

ゴミ屋敷の片付けは大変な作業です。いつか着手しようと思っていても、作業量を考えるとモチベーションがなかなか上がらず、いつまで経っても片付かない場合も多いでしょう。

そこで、引越しという期限を設けることによって、片付けにタイムリミットを作るのです。引越し当日までに片付けられなければ周囲に多大な迷惑がかかるだけでなく、業者とのトラブルなど、片付け以上に面倒な事態になります。

期限がきちんと決まることで計画を立てやすくなり、片付けも始めやすくなるでしょう。

新生活で気分を一新できる

ゴミ屋敷化は、食べた物を片付けない、物を床に置いているといった『悪習』が原因です。

新居に移り住むことで過去の習慣や生活を振り返って、新しい自分として生活を始める良い機会になるでしょう。

家の中はもちろん、周辺環境も異なった生活で、自分自身も新しく生まれ変わったような気分で過ごすことができるのです。

ゴミ屋敷からの引越し準備の流れ

ゴミ屋敷から引越しをするまでの事前準備の流れについて解説します。

準備をスムーズに運ぶことで、当日の引越し作業も楽に行うことができますし、後腐れなく旧居から移動して新居で新しい暮らしに挑戦しましょう。

基本の流れは通常の引越しと同じ

ゴミ屋敷からの転居も、基本的な流れは普通の引越しと同じです。引越し先を探した後は、当日までに転居届やガス・水道・光熱の事業者にも住所が変わる旨を伝えます。

銀行など、その他利用しているサービスがあれば、そこにも住所変更の手続きを行います。特に郵便局は、転居先に1年間なら前住所に届いた郵便物を郵送してくれるサービスがあるので、利用しましょう。

ただ、ゴミ屋敷から引越す場合は通常の引越しよりも、猶予期間や費用を見積る必要があります。引越だけではなくゴミの分別や片付け作業があるからです。

ゴミを清掃した後に、その後の掃除まで行わなければならないので、通常の引越しよりもコストが大きくなってしまうのは覚えておきましょう。

最初に行うのはゴミや不用品の処分

ゴミ屋敷から引越す場合、まずは部屋の中に溜まっているゴミと不要品の処分行わなければなりません。

ゴミが大量に出る場合は、通常のゴミステーションからの回収はしてもらないので、あらかじめ自治体に連絡する必要があります。大型ゴミに関しても同じです。大型ゴミの処分に自治体のサービスを使う場合、3週間以上は余裕を見ておくと良いでしょう。

ゴミや不良品の後は、ゴキブリやネズミなどがいる場合は、それらの駆除も行う必要があります。

これらの作業をすべて1人で行うのはほぼ不可能です。そのため、業者に作業を依頼することを頼んでみた方が良いでしょう。

引越し業者の選び方

ゴミ屋敷から引越す場合は、引越し業者の選び方にもこだわらなければなりません。

どのように業者を選ぶべきか、ポイントについてまとめてみました。

引越し専門業者に断られる場合も

汚部屋のレベルによっては、引越し業者が引き受けてくれないケースがあります。

足の踏み場もないもののゴミ屋敷や汚部屋というのは、何を持って行くのか、捨てるのかがまったく見通しが立たないため、見積りやプランを提案するのが難しいのです。また、当日まで片付いていないとうトラブルも多いので業者が嫌がることがあります。

また、本人でさえ何を引越し先に持っていったか覚えていないことが多く「自分は確かに持ってきたはずなのに!」「引越し業者が物を紛失した!」とクレームが来やすいのです。

採算が取れないと判断されれば、残念ながら断られてしまうでしょう。

掃除と引越しをセットで行う業者もある

引越し業者の中には、引越しと不良品の処分、清掃をすべて行ってくれる業者もあるので、1人では間に合わない場合は探してみても良いでしょう。

ただし、ゴミ屋敷レベルの清掃までになると、引き受けてくれる業者も限られます。また、一概にすべて引き受けてくれるわけではないという点にも注意が必要です。

例えば、片付けはやってくれるけれど清掃まではしてくれない業者もあります。片付け業者の中にも、仏壇や金庫などといった処分できないものがあったり、清掃をするにしても、汚れ具合によっては特殊清掃の部類に入ってしまうので断られることもあるでしょう。

業者に依頼する場合は、まずはどこまでやってもらえるのかを相談してみてください。

サカイは買取サービスを実施

サカイ引越センターでは、通常の引越し業務に加え、不要品の買い取りサービスを実施しているようです。

家電や衣類、ブランド品やおもちゃなど多くの物を取り扱っています。買い取りサービスを申し込んだ後にダンボールが送られてくるので、中に物を入れて送り返せば手続き完了です。詳しくは、公式HPで確認してみましょう。

  • 企業名:株式会社サカイ引越センター
  • 住所:大阪府堺市堺区石津北町56番地
  • 連絡先:0120-00-1141
  • 営業時間:年中無休 8:00~19:00(年末年始を除く)
  • 公式サイト

 

良い業者の選び方

引越しを成功させるには、優良業者に依頼する必要があります。引越し業者の中には費用が必要以上に高額だったり、物の扱いが非常に雑で、破損させても補償をしなかったりする悪質な業者もいるので業者選びは慎重に行いましょう。

優良業者を選ぶ際のポイントについて解説します。

必要な免許や資格を持っているか

まともな業者であれば、自身のホームページに所有している資格を掲載しているでしょう。

例えば『一般廃棄物収集運搬許可証』は、家庭ゴミの運搬や処分の際に必要な免許です。片付けも業者が請け負うなら必ず所有しています。ただし例外として、業者は持っていなくても、一般廃棄物収集運搬許可証を持っている業者に業務委託するケースがあるので、この場合はセーフです。

骨董品や絵画を扱うなら『古物商許可証』、遺品の整理を行うなら『遺品整理士』の資格を持っていることが告知されているでしょう。業者に頼む場合はこういったサービスを所有しているかも確認しましょう。

見積り内容に気になる点はないか

見積りを取った場合に、詳細がきちんと明記されているかの確認は必要です。例えば家電を引き取ってもらう場合、一部の家電では『家電リサイクル法』が適応され、処分費用が別にかかります。粗大ゴミも同様に費用がかかる廃棄物です。

このような処分価格が見積もりに含まれておらず、支払う段階になって請求するような業者があるので注意してください。

コミュニケーションに問題はないか

例えば先に紹介したような見積りの疑問点に対し、まともな業者であれば不明点ははっきり答えてくれるでしょう。悪徳業者というのは、ボロを出すのを避けるために、依頼者に突っ込まれてもまともに答えない場合があります。

他の質問や引越当日の段取りについて、スムーズにコミュニケーションが取れているかも見ておきましょう。業者側の都合を一方的に押しつけてくるような場合は、注意が必要です。正式に依頼する前に、まずは業者側の誠意や接客を見て、場合によってはお断りすることも考えてください。

料金はどれくらいかかる?

引越しでもっとも気になるのは、いくらかかるかでしょう。

特にゴミ屋敷の場合は、通常の引越しより多額の料金がかかることが予想されます。実際にどの程度費用がかかるかをまとめてみました。

片付け費用と引越し費用がかかる

ゴミ屋敷からの引越しには片付けと引越しの両方の面から費用を見ていかなければなりません。

まず、引越し費用については通常と変わらないでしょう。基準としては引越しの距離と運ぶ荷物の量、引越にかかるスタッフの数、後は梱包まで業者にやってもらう場合はさらに料金がかかります。特にゴミ屋敷の場合、搬送荷物が多ければそれに比例して料金も上がります。

軽トラックに収まるようなら5万円以下ですむケースもありますが、2tトラックを越えると荷物量の運びだけで10万円以上かかることも珍しくありません。

ゴミの処分費用と清掃費がネック

ゴミ屋敷はゴミの処分費用と清掃費がネックになります。ゴミの処分費用の算出の仕方は、車両費用と、人件費、ゴミの処分費の3点を足した金額です。部屋がどのぐらい汚れているか、そして部屋の広さで大きく変わります。

ワンルームのゴミ屋敷であれば、次のような相場になります。

ゴミの量 人数 時間 費用
床一面 1~2 数時間 6~8万円
腰の高さまで 2~4 半日 10~50万円
天井の高さまで 5~7 数日 30~70万円

部屋の汚れ具合やクリーニングをどこまでやるかによっても、大きく料金は異なります。例えば人が亡くなった後の部屋を掃除する場合は、特殊清掃が必要になり、さらに費用がかかるケースもあるようです。

複数業者から見積りを取るのがオススメ

引越の際は複数業者から見積りを取るようにしましょう。

極端に値段の高低差がある悪徳業者を見抜くためや、単純に料金やサービスの比較にも使えます。1社から選ぶと変な業者に引っかかることや、別の業者の方が料金が数万円安いこともあるでしょう。見積り自体は無料の業者の方が多いので、特にデメリットもありません。

荷造りのポイント

続いては荷造りのポイントについて解説していきましょう。荷物が多ければそれだけ引越しの費用もかかりますし、新しい住居で前の荷物ばかりでは生活のリセットになりません。

荷物をまとめる際のポイントを解説します。

断捨離を心がける

引越の費用を下げるためにも、新居で新しい生活をするためにも、まずは新居に持って行く物を少なくすることが理想です。次の指標に従って物を処分していきましょう。

  • 1年以上使用していない
  • 代用できる物がある
  • 次の新居では使う予定がない

「後で使うかもしれない…」と思うかもしれませんが、1年以上使っていなければその可能性は低いはずです。収納スペースを取らないために捨ててしまいましょう。代用できる物があるなら、どちらかだけを持って行くようにします。

いくら高級な家具であっても、次の新居でサイズなどが合わなければただスペースを取る置物になってしまいます。新居先のサイズにあった新しい物を購入しましょう。

害虫対策を徹底

害虫が新居に移り住むことを避ける為、荷物への害虫対策を徹底しましょう。事前に消毒することはもちろんですが、他にも予防策が必要です。

害虫が巣を作っていた家具や家電は、卵などが植え付けられている可能性があります。また布団もダニなどが残っている可能性は捨てきれません。プロの業者に依頼するか、こういった荷物は新居には持っていかず捨てることを考えましょう。

ゴミ屋敷からの退去時の注意事項

ゴミ屋敷から撤退する時に、自分には関係ないからと前の場所が汚いままではトラブルになります。

金銭面や管理会社とのトラブルを防ぐためにも、以下のことをあらかじめ覚えておきましょう。

賃貸マンションやアパートは原状回復が必要

賃貸物件には『原状回復』の義務があります。これは、引越をする際に借りた時と同じ状態に戻す決まりです。

経年劣化したものについては回復の義務はありませんが、過失と見なされたものには修繕が必要です。ゴミ屋敷の場合、家が痛みややすくなるので過失とみなされる個所が多くなります。通常の使い方では起こりえなかった汚れや傷は、借り主が修復しなければなりません。

汚れ具合次第では敷金が返ってこない

敷金は、入居時に預け、退去時にはそれを利用して原状回復を行い、残ったお金は返ってきます。ですがゴミ屋敷はカビや害虫の発生で床材が傷んだり腐敗したりなど、通常のクリーニングよりお金がかかる場合が多く、敷金が返ってこないケースもあるようです。

別途費用を請求される場合も

汚れや部屋の傷みがひどい場合、敷金でも修復費が足りず、別途に要求される可能性もあります。特に特殊清掃を行った場合や、ゴミの処分方法によっては、100万円を超える金額を請求されることもあるようです。

ただ、その金額の中には、本来借り主が払う必要のない項目が追加されている可能性もあるので、退去する際の調査には第三者を付き添わせるようにして、疑問点があればその場で聞きましょう。

引越し先をゴミ屋敷にしないために

ゴミ屋敷を綺麗に精算して、せっかく新居に引越しても、そこをゴミ屋敷にしてしまっては同じことの繰り返しです。そうならないために、新居ではどんなことに気を付ければ良いかを解説します。

物を増やさない

せっかくの新居なのですから、何か新しい物を買いたい、家をもっと飾りたい気持ちもあるでしょう。

家の中に物が増えすぎると管理が行き届かなくなり、住居スペースも狭くなります。何かを探すのにも時間がかかるので、次第に床の上や部屋の隅に物を置くようになり、やがて散らかっていってしまうでしょう。

そうならないためにも、家の中に置く物は最低限に絞って、それでも物を置く場合は、他の何かを捨てることを継続しましょう。

定期的な清掃を心がける

掃除はまとめて1度にやるよりも、少しずつやる方が手間もかかりません。今日はキッチン、明日は床掃除といったように、場所を変えながらこまめにやることをおすすめします。

半日や1日中、掃除に時間を取るのは難しいですし、途中でモチベーションが下がってやめてしまうこともありますが、1日に30分ほどの時間であれば続けられる人も多いのではないでしょうか? ライフスタイルに清掃を組み込んでしまいましょう。

散らかりにくい収納を心がける

ハサミやペンなどの頻繁に使う物は、またすぐに使うからとそのまま放置してしまうこともあるでしょう。コートや衣類もクローゼットに戻さず、床や布団の上に放置してしまうことはありませんか?

元に戻すのが面倒臭いということは、収納方法が間違っているとも言えます。ハサミやペンが手の届く場所に収納位置があれば、片付けやすいですし、よく着るコートなどもクローゼットの中に入れるのではなく、入り口にかけておくといった方法なら床に置いてしまうこともないでしょう。

よく使う物は取り出しやすい位置に置いておく、そしてあまりに使わない物については捨ててしまうというように、普段から散らかりにくい収納を心がけることがポイントです。

まとめ

ゴミ屋敷での生活をリセットしたいなら、引越しがおすすめです。引越しの日取りを決めることで、その日までに整理しなければならないので、モチベーションを維持できます。また、新居で今までの生活を見直して、新しい習慣や暮らしを始めるきっかけにもなるでしょう。

ゴミ屋敷の片付けが自力では無理だと判断したら、業者を頼ることも視野に入れていきましょう。片付けや清掃、害虫駆除といった作業をお任せできれば引越しの段取りも楽になります。ただし、悪徳業者に捕まらないよう、複数の業者と相見積もりを取ることをおすすめします。

そして引越したら、今度は散らからないように、片付けや収納を習慣化していきましょう。