汚部屋に暮らす最大のデメリットは、深刻な健康リスクにさらされることです。身体のみならず精神的にダメージを受ける場合も多く、その程度によっては社会生活そのものが困難になります。汚部屋生活で考えられる、健康リスクについてみてみましょう。
汚部屋で暮らすと病気になるの?
汚部屋と呼ばれるほど汚い部屋で暮らすと、肉体的・精神的な健康を損なう恐れがあります。実際に汚部屋で暮らすと、どんな弊害があるのでしょうか。
汚い空間での生活は健康に害がある
ゴミが堆積した汚部屋では、ホコリやカビは増え、ダニや害虫も発生します。目には見えなくとも空気中にはかなりの量が舞っているため、汚部屋での暮らしでは、アレルギー症状や喘息などを患う恐れが高まるでしょう。
また、ダニや害虫は健康に深刻なダメージを及ぼすウィルスや細菌を持っています。ダニは目に見えないほど小さいので油断しがちですが、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱、つつが虫病、ダニ媒介性脳炎などを媒介し、感染すれば頭痛や痙攣、吐き気といった様々な症状を発症するでしょう。
一方、ゴキブリやハエなどの害虫は大腸菌や赤痢菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌などを媒介します。感染後に重症化すれば、死の危険さえあるかもしれません。
メンタルも不安定に
本来なら自室は最もリラックスできる場所であるはずですが、汚部屋に暮らしているとその汚さがストレスの元になる場合があります。
物が少ない部屋が落ち着けるのは、視覚的に入ってくる情報が少ないからです。物が多いと色々な物が目に留まり、脳を刺激します。そのためいつも気分が落ち着かなくなり、ざわついた状態になるのです。
また、汚部屋にいれば、『片付かない部屋』という現実を常に突き付けられることになります。やらなければならないことが出来ていないと責められているような気分になり、絶えずストレスを感じるでしょう。
精神的な負担が大きい汚部屋に長くいれば、精神的に受けるダメージも大きくなるのです。
部屋が汚いと社会生活にも悪影響が出る
あまりに汚い部屋に住んでいると、仕事や日常生活にも影響します。汚部屋による悪影響にはどんなものがあるのでしょうか。
決断力がなく注意散漫になりがち
汚部屋に暮らすと、片付けられない自分に対する無力感に苛まれるようになります。部屋の居心地が悪いため神経が休まらず、気力が減退するのです。
無気力が続けば決断力・判断力も鈍り、注意力も散漫になります。仕事をするうえでもミスが目立ち、思うようにルーティンをこなせなくなるでしょう。このような状況が続けばうつ病を発症する恐れもあり、メンタルへのダメージは甚大です。
セルフネグレクトのサインかも
セルフネグレクトとは、自分自身のことに全く構わなくなる症状です。セルフネグレクトを発症すると、身だしなみや掃除・片付けといった『自己管理』が全くできなくなります。
自分でそれを改善しようという気力もわかないため、他人に助けを求めることもできません。無気力な状態では『汚部屋で恥ずかしい』とも思わなくなるため、汚部屋化を自分で止めることは難しいでしょう。
経済的なデメリットも
部屋が汚いと物の管理が出来ず、必要な物がどこにあるのかわからなかったり、ストック量を正確に把握できなかったりします。このような汚部屋では不要な物を購入することが増え、同じものや余計なストックをため込むことになるでしょう。
二度買いや不必要なストック買いで無駄な出費が増えれば、財布へのダメージも大きくなります。大きな買物はしないのにお金が貯まらない、いつの間にかお金が消えているということが増え、お金の管理も杜撰になるでしょう。
汚部屋になる原因を解消することも重要
汚部屋の改善には片付け・掃除が必要です。しかし、いくら部屋を綺麗にしても汚部屋の原因を取り除かなければ、部屋は再び汚部屋化してしまうでしょう。
汚部屋化する原因にはどんなものがあるのでしょうか。
片付けても汚部屋に戻ってしまう
片付けても汚部屋に戻ってしまうという人は、自分の原因がどこにあるのかを把握することから始めましょう。
まずは簡単に、片付けられない人に多く見られる4つの特徴を紹介します。
- 性格
- 多忙
- メンタル・ストレス
- 発達障害
『勿体ない』『面倒な事は後で』という性格の人は、物をため込みがちで、片付けが苦手です。
また、多忙な人は、忙しすぎて片付けにかける時間がありません。休みが取れればリフレッシュに回す人が多く、片付けの優先順位は低いでしょう。ただし、このように片付けできないのが性格や時間的な問題の人は、心の持ちよう・時間の使い方で汚部屋を改善できるチャンスはあるでしょう。
一方、自力での現状回復が難しいのがメンタルや発達障害が原因の人です。このような人は片付けられない原因が他にあるため、それを治療しない限りは根本的な解決には至りません。
心の病気が原因の場合は治療も必要
前述のとおり、片付けられない原因には心の病気が潜んでいる場合があります。セルフネグレクトのほか、うつ病やためこみ症などを発症している人は、片付けようとしても片付けられないのが現状です。
周囲から指摘を受けたり自分でおかしいなと感じたりした場合は、速やかに専門医に相談することをおすすめします。
部屋を片付けると多くのメリットがある
汚部屋を脱出したいのに出来ない、という人は、綺麗な部屋のメリットを知るとやる気が湧いてくるかもしれません。
綺麗な部屋に住むとなぜ心地よく幸せな気分で過ごせるのでしょうか。
思考が整理され自己肯定感が高まる
部屋が片付いていると、思考もまとまりやすくなります。汚部屋の場合は、物の多さがストレスになったり集中力を削いだりしますが、綺麗な部屋では物事に集中しやすく、建設的・効率的に考えられるようになるのです。
また、『片付けができている』という状態は心地よく、自己肯定感も強まります。部屋にいるだけでリラックスできるので、日常生活に余裕や落ち着きが生まれてくるでしょう。
無駄遣いが減る
前述のとおり、汚部屋では物の管理が困難なため、無駄買い・二重買いが頻発します。ところが片付いた部屋なら物の管理がしやすく、どこに何があるか・ストックはどのくらいあるのかが一目でわかります。物の管理が容易になれば無駄な出費も減少し、お金は溜まりやすくなるでしょう。
また、汚部屋の汚さが嫌になり、外出しがちになる人もいます。溜まりがちなストレスを外で発散しようとするため無駄遣いが増え、要らぬことに散在してしまうのです.
部屋が綺麗ならこのような無駄は起こりにくく、経済的にゆとりをもって暮らせるようになるでしょう.
ダイエットの効果も
部屋を綺麗にすると痩せやすくなるといわれるのはご存知でしょうか。汚い部屋では動くのが億劫になるため、手の届く場所に食べ物を置き、好きなように食べてしまいます。さらその汚さがストレスの元となり、ストレス解消のために物を口に入れたくなるのです。
この場合、諫める友人などがいないため、1人で好きなだけ食べてしまうでしょう。また、汚部屋に暮らすような人は物事を客観視できなくなっています。自分がどれだけ汚い部屋に住んでいるかに鈍感な人は、体型にも鈍感になる傾向があります。
部屋が綺麗になれば、ストレスが減り、暴飲暴食しにくくなります。人と一緒に食べれば食べ過ぎも防げ、自分の状態も客観的にみられるようになるでしょう。
汚部屋を脱出すると痩せると言われるのは、自己管理がきちんとできるようになるからかもしれません。
まとめ
汚部屋に暮らして良い事は、1つもありません。ゴミの溜まった部屋ではダニや害虫が発生し、深刻な健康被害を受ける可能性があります。ゴミの中では精神的にも不安定になりますし、心身ともに悪影響を受けるでしょう。
部屋が深刻な汚部屋になるのは、性格などのほか、病気や発達障害も考えられます。単に『片付けが苦手なだけ』と考えずに、気がかりがあれば専門医への相談が必要です。
部屋が綺麗になれば、健康的に暮らせるだけでなく、精神的な充足感も得られます。汚部屋にはデメリットしかないと心得て、片付けや掃除を実践しましょう。