遺品整理をいつからするべきなのか、遺族が知っておきたいポイントをまとめました。気持ちの面も大切ですが、相続税の手続きは期限が定まっています。また、具体的な遺品整理の手順や、遺品整理サービスの特徴、生前整理の有効性も紹介しましょう。

遺品整理を始める時期は?

親や身内が亡くなり、急に家を片付ける必要が出てくるのは多いのではないでしょうか。基本的には気持ちの整理がつき、落ち着いてから取りかかるほうが、スムーズに作業が進みます。しかし、状況によって急がなければならないケースもあるため、必ずしなければならないことだけ確認しておきましょう。

気持ちの整理がついてからがおすすめ

まだ気持ちの整理がつかず、悲しい思いのまま遺品整理に取りかかってしまうと、作業が進まなくなります。遺品を見るたびに故人を思い出し、悲しい気持ちかぶり返すようなら落ち着いてから整理を始めましょう。

いつから始めればいいのか悩み、手がつけられない場合は、まず自分の気持ちが落ち着いたかどうかで判断しましょう。

あまり自分を急がせて片付けをしてしまうと、ストレスも溜まります。どうしてもやらなければならないことだけ済ませて、納得がいってから掃除を開始した方が、遺族にとって悔いが残りません。

急がなくてはいけない場合もある

相続人が複数いる場合や、個人が賃貸物件に住んでいた場合は、できるだけ急いで片付けをしなければなりません。形見分けや相続税の確認はお金が絡むこともあり、早めに手続きが必要です。

賃貸物件では家賃を払うなら期限を延ばせることもありますが、持ち家の片付けを先延ばしにするよりも費用がかかってしまいます。気持ちの整理がつかない状態で、費用面や手続きなどがある場合は、無理をせずいったん遺品整理業者などに任せることも検討してみましょう。

形見分けを行う

故人の形見分けをする場合、ひとまず遺品をチェックしなければなりません。価値のあるものが特定できている場合は問題ありませんが、部屋の中に何があるのか分からないなら早めに遺品を確認しましょう。

親族が集まる機会に形見分けをしてしまおうと考えるなら、故人を偲ぶ会や四十九日など、全員が集まりやすい日程までにある程度片付けを済ませておく必要があります。

賃貸の退去期限がある

賃貸物件は、毎月一定の金額で借りています。故人が先払いをしており余裕があるなど特殊なケースを除き、退去期限までに片付けを済ませなければいけません。

時間がかかる場合は別途費用が発生するなど、相続人に負担が掛かります。捨てるか捨てないかは後で判断するとしても、部屋にあるものを一旦どこかへ移動させるなどの対処は必要です。

部屋の中には、大型の家具も多数設置されているでしょう。退去期限までに自分で処分できない場合は、専門業者に任せることをおすすめします。自治体でも粗大ゴミを回収していますが、原則家の外までゴミを運ばなければいけません。

相続税の発生

相続税が発生する場合、手続きには締切があります。相続をするしないにかかわらず、相続開始を知った日(原則、個人が亡くなった日の翌日)から、相続人としての義務が発生します。

相続放棄する場合は3ヵ月以内、相続の申告をする場合は10ヵ月以内に手続きを済ませましょう。故人の持ち物をすべて把握している場合を除き、片付けて何があるかを確認しなければなりません。

後から、思いもしない相続品が出てくることもあります。特に負債がありそうな場合は、早めに故人の持ち物や通帳、登録している会社などを確認しておきましょう。

遺品整理の具体的な手順

遺品整理の手順は、遺品を分類し、不要な物を廃棄する順序で行います。自分が残しておきたいものや、故人が大切にしていたもの、形見分けとなる価値のあるものなどを仕分けていきましょう。

遺品を分類する

まずは家の中にある遺品を分類していきましょう。すべてのものを出し、1つずつ見ていくことが大切です。残すのか、処分するのか2種類に分けていきます。

まずは大きなものから要不要を判断し、細かいものを整理していくと作業がスムーズに進みます。引き出しなどに入っている細かい遺品には、通帳や印鑑、価値のある宝石類などが混ざっていることもあるため、1つずつ確認していきましょう。

特に故人の生活環境を知らず、部屋の中に何があるのか分からない場合は、遺品整理サービスを利用して一緒に見てもらうのも有効な方法です。

不要な物を廃棄する

誰も使うことがない家具や故人が着用した衣服など、置いておく場所がない物は基本的に廃棄します。自分の家や親族に余裕がある場合を除き、大切に残しておきたい物と必要な物以外は廃棄することが大切です。

特に家を売却する場合や、賃貸物件で退去日が迫っている場合は、ほとんどの物を廃棄することになるでしょう。

廃棄する量が多いときは、専門業者へ依頼するとスムーズです。大型の家具や大量の不用品でも、一度に処理できます。

遺品整理時の注意点

遺品整理のときには、情報共有と個人情報の管理を徹底しましょう。相続人が複数いる場合は、1人で勝手に遺品整理を進めてしまうと、トラブルの原因です。

自分は必要ないと考えていても、他の相続人にとって必要なケースもあります。また、情報機器を処分するときは、必ず個人情報の管理もしておきましょう。

相続人で情報を共有する

相続人同士で情報共有をしておかないと、遺産の管理ができません。遺品整理の途中で、相続人が知らない財産や持ち物が出てくることもあります。

整理を誰か1人に任せる場合でも、情報は把握しておきましょう。捨ててしまってから後で大切なものだったと気づいても、取り返しがつきません。整理中に出てきた物や、財産については相続人全員が把握しておくことをおすすめします。

業者に依頼して遺品整理をする場合は、相続人に情報を提供してくれます。全員が集まれるときに業者を呼べば、スムーズに遺品整理が進むでしょう。

個人情報の管理を徹底

近年は、個人でスマホやパソコンを持ち、オンラインだけでできる手続きも増えています。故人の残した物の中には、個人情報が含まれるデータがあります。

パソコンやスマホなどの情報機器を処分する場合には、個人情報の管理や消去を必ず行っておきましょう。そのままリサイクルショップに売却すると、個人情報が流出する可能性も考えられるためです。

遺品整理の際には自分で情報を消去するか、専門業者などに初期化してもらってから売却を行いましょう。売却しない場合でも、亡くなった人の情報を登録したままでは不都合があるでしょう。

契約している月額サービスや会員サービスなど、オンライン上で手続きが完結する事に関しても整理を進めておきましょう。本人が亡くなった後もずっと銀行からお金が引き落とされてしまうなど、あとで問題になりますし、いつの間にか財産も少なくなってしまいます。

遺品整理サービスもある

遺品整理サービスは、家の中にある遺品の整理・廃棄まで一括で行ってくれるサービスです。どうしても気分が落ち込み自分で遺品の作業ができないときや、遺品の量が多く作業が難しい場合に活用できます。

遺品整理業者を利用するメリット

遺品整理業者は、細かい大量の遺品を1つずつ確認してくれます。部屋の片付けをしたいけれど遺品整理の時間が取れない人や、気分的に遺品と向き合う余裕がないときも安心です。

また、大型ゴミの回収なども同時に行ってくれます。自分ではタンスや机など、大型の家具を移動させられないときも便利です。使うことがない家具や大型の遺品も、必要ないものは引き取ってもらえます。

細かい遺品を楽人し、別途地域の粗大ゴミに出す必要がなくなり、時間の節約が可能です。

遺品の供養サービスもある

遺品を捨てることができない人も多いですが、遺品整理業者なら、別途供養サービスをしているプランもあります。不要なものでもきちんと供養してから処分が進むため、気分的にもやりやすいのではないでしょうか。

処分すると故人が怒る、または悲しむのではないかと気にしている人は、供養サービスを利用してみましょう。

生前整理を検討しよう

大量の遺品を残してしまうと、遺族の負担が大きくなります。もし終活について考えているなら、生前整理も検討しましょう。自分が残しておいて欲しい物を厳選し、遺族に伝えておけば遺志も尊重できます。

 遺族の負担が軽くなる

生前整理をしておけば、遺族の負担は軽くなります。本人が自分で必要な物と処分していい物を分けるため、遺族が判断に困ることもありません。

あらかじめ税金がかかる財産も相続人に分配しておけば、相続税の負担も減ります。名義を変更しておいて差し支えない部分は、生前整理をおすすめします。

突然亡くなってしまうと、残された身内は悲しむ暇もなく遺品整理や税金の手続きに追われます。故人が大切にしていた物が分からない場合、要不要の判断もストレスがかかるでしょう。

自分で生前整理をしておくと、身軽になり部屋も片付いて過ごしやすくなります。時間のあるときに、子供や身内と話をしながら片付けをするだけでも構いません。将来子供が遺品整理をすることになったとき、残すべき物が判断しやすくなるでしょう。

故人の遺志を尊重できる

自分が亡くなった後も残しておきたい物や、処分しないでほしい物を身内に伝えておけば、故人に対する配慮ができます。自分が生きているうちに処分できない物は、遺言を残すこともおすすめです。

遺言書を作成しておけば、残された身内も自分が何を受け取ればいいのか判断しやすくなります。どうしても処分して欲しくない物がある場合や、自分が亡くなった後に誰かに譲りたい物がある場合は、生前に意志を伝えておきましょう。

口頭よりも、きちんと遺言にして残しておいた方が、相続人全員が納得して遺品を整理できます。

まとめ

遺品整理は、遺族の気持ちが落ち着いた頃に行うのが最適です。いつから手をつけるのか、迷う場合は少し落ち着くまで待ってみましょう。ただし、相続税の手続きや賃貸物件の退去期限など、延ばせないものもあります。

すぐに遺品整理をしなければいけない場合は、いったん遺品を移動させるか遺品整理サービスの利用を検討してみましょう。業者に依頼すれば、遺品の分別やゴミ処理など、すべてまとめて作業してくれるので安心ですね。