引越しのときは、新居で使う予定がない家具や家電製品などの粗大ごみが大量に出ます。処分するにはさまざまな方法がありますが、費用と時間がかかることが多いので、よく調べておく必要があります。正しい処分方法を知って、気持ちよく引越しましょう。

粗大ごみについて知ろう

粗大ごみと聞くと、とても大きな家具や電化製品を想像しがちです。しかし粗大ごみの大きさには、きちんとした定義があります。

具体的にどのようなごみを粗大ごみと呼ぶのか、大きさや種類、注意が必要なものについてみていきましょう。

粗大ごみの定義

粗大ごみとは、縦横高さのいずれかが30㎝以上あるごみのことです。薄いものや細長いものでも、どれか1つの辺の長さが30㎝以上あれば、粗大ごみとなります。

30㎝というのは意外と小さいため、粗大ごみと思わずに不燃ごみとして捨ててしまうケースも多いので、注意してください。

また、粗大ごみはほかのごみと違ってごみ集積所に置いておけば無料で回収してくれる、ということはありません。捨てるときは自治体や回収業者に予約をし、指定の料金を支払って回収してもらうか、自分でごみ集積センターに持ち込む必要があります。

料金は自治体や業者によって異なりますが、大きなものほど高くなることがほとんどです。

粗大ごみを種類別にみる

粗大ごみを種類によって具体的に挙げると、以下のようになります。家電製品の中には処分方法が法律によって別途定められているものがあるので、注意しましょう。

  • 家具:タンス・食器棚・テレビ台・食卓テーブル・椅子・ソファー・じゅうたん・勉強机・物置など
  • 寝具:ベッド・布団・マットレス
  • 家電製品:エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機・乾燥機・食器洗浄機・温水洗浄便座・パソコンなど
  • その他:ピアノ・スキー板(ストック含む)・スノーボード・ゴルフクラブ・テニスラケット・テント・植木鉢など

家電リサイクル法に注意

粗大ごみは基本的に自治体の決まりに従って処分すればよいのですが、下記の家電製品には別途『家電リサイクル法』が適用されるので、処分の方法が異なります。

  • エアコン
  • テレビ
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • 洗濯機・衣類乾燥機

これらの粗大ごみは、決められたリサイクル料金と引き取りや運搬の手数料を支払って処分しなければなりません。捨てる製品を買った店、または買い替える店に依頼するのがもっとも簡単で確実です。

近くに依頼できる店がない場合は自治体に相談すると、適した引き取り業者や回収場所を教えてもらえます。

また、パソコンの処分方法にも決まりがあります。迷ったらまず自治体の担当者に相談してみましょう。

引越し業者に引き取りを依頼する場合

粗大ごみは、引越し業者に引き取ってもらうこともできます。引越しと粗大ごみ処分が一度に済ませられるので、とても楽です。しかしほとんどの場合は有料となり、自治体の回収に出すよりも高いのが普通です。

処分したい粗大ごみがたくさんあれば、それだけ費用がかさみますし、すべての粗大ごみを引き取ってくれるわけでもありません。

最初から引越し業者をあてにするより、できるだけ自分で処分して、間に合わないものや急に捨てることになったものだけを依頼するとよいでしょう。

業者によって対応が違う

粗大ごみの引き取りは、業者によって対応が違います。ごみは一切引き取らないという業者から、各種引き取り方法を用意しており、買取りまでしている業者までさまざまです。

例として、『サカイ引越センター』と『アート引越センター』の粗大ごみ引き取り方法を紹介します。

サカイ引越センター

処分が面倒な家電製品やピアノは、依頼すれば適切な方法で処分してもらえます。その他の粗大ごみについても相談が可能で、ブランド品や使える家電製品の買取りも行っています。

少しでも買取ってもらえれば、引越し料金の足しにすることができますね。

アート引越センター

家電リサイクル法対象の製品とピアノについては依頼可能ですが、その他の家電製品や家具などの処分は取り扱っていません。

見積もり時に引き取りの希望を伝えよう

引越し業者は、引越しにかかわる荷物の梱包や運搬が主な仕事です。このため粗大ごみの引き取りは、あくまでもサービスの一部として行っているにすぎません。

限られた品目しか引き取れない場合や、地域によって引き取りできるものが決まっている場合もあります。また、もし引越し当日に急に引き取りを依頼しても、対応できず断られてしまうでしょう。

引越しと同時に粗大ごみを処分したいと考えているなら、引越し料金の見積もりを依頼するときに、粗大ごみの取り扱いについて詳しく聞いておき、あらかじめ希望を伝えるようにしてください。

引き取りできない物もあることに注意

引越し業者では、引き取りや処分ができないごみが意外とあります。サカイ引越センターでは、下記のごみについて引き取りできないと明記しています。

  • 生ゴミ類
  • 仏壇・仏具
  • 金庫
  • コピー機
  • パソコン
  • 危険物
  • 注射針
  • 薬品類 ・土砂類
  • 木材関係
  • コンクリートブロック等

パソコンは『資源有効利用促進法』により、パソコンメーカーが回収・リサイクルすることが決められています。その他のごみも、自治体に相談するなどして、適切に処分しましょう。

自治体の粗大ごみ回収を利用する場合

どんな業者に依頼しても、粗大ごみの処分にはお金がかかります。安く抑えたいなら、自治体の粗大ごみ回収を利用するのが最適です。無料というわけにはいきませんが、ほかの業者に依頼するよりも低料金で引き取ってもらえます。

ただし、申し込んですぐに回収しに来てくれるわけではありません。一度に回収できる個数も限られているため、余裕をもって申し込む必要があります。

見逃しがちですが、自分でごみ集積場所まで運ぶ労力も必要です。マンションにお住いの方や集積所が遠い方は注意しましょう。

事前の申込みから回収までの流れ

自治体に粗大ごみを回収してもらうためには、事前に電話で予約してから、指定の日時までに集積場所に運び込んでおく必要があります。

回収料金は予約のときに教えてもらえますので、近くのコンビニエンスストアなどでシール状になっている納付券を購入し、予約時に発行される受付番号などを記入して粗大ごみに貼りつけます。

指定の日に、自治体指定の回収業者が引き取りにきて完了です。事前に納付券を購入しているので、原則回収に立ち会う必要はありません。

料金や品目など自治体で違う

粗大ごみ処理の料金は、ごみ処理施設の充実度や人件費をはじめとする諸費用によって、自治体毎に定められています。また同じ品目でも、大きさや重さで料金が変わってきます。

主な品目について、東京都千代田区と横浜市の料金を紹介します。

東京都千代田区 横浜市
ベッド(本体のみ) 900~1600円 1000円
ソファー(2人がけ以上) 1600円 1000円
ガスコンロ 300円 500円
自転車 300~600円 500円

目安としては、小さなものなら300円程度、大きなものでも2000円以内で引き取ってもらえると考えてよいでしょう。

処分は計画的に

多くの自治体では、一度に受付・回収できる粗大ごみの個数に制限を設けています。引越しでたくさんの粗大ごみを処分したいときは、何回かに分けて申し込まなければならないこともあります。

受付から回収まで10日から2週間ほどかかり、回収の日時をこちらから指定することもできません。このため引越しが多い時期には非常に混み合い、予約の電話も繋がりにくくなってしまうほどです。

申込みが遅れると引越し当日までに間に合わなくなってしまうので、引越しが決まったらできるだけ早く申込むようにしましょう。

不用品回収業者を使う場合

粗大ごみを含め、洋服や不燃ごみなどいろいろな種類のごみをまとめて片づけたいときは、不用品回収業者に依頼すると便利です。

自治体の回収に比べると料金は割高ですが、都合の良い日時に取りに来てもらえます。自分で分別しなくて済むので、引越し前の忙しい時期にはとても助かります。

料金やプランは千差万別ですから、いろいろな業者から見積もりを取って較べてみましょう。

手間がかからず便利

不用品回収業者を使うメリットとして、以下の点があげられます。

  • リサイクル法対象家電やパソコンなどもまとめて引き取り可能
  • コンビニエンスストアに券を買いに行く必要がない
  • 回収の日時を指定できる
  • 部屋の中まで取りに来てくれるため、重い粗大ごみを回収場所で運ばなくて済む

引越しまで時間がないときや、人手が足りないときなどは、手間がかからず大変便利です。

1個から定額のパックまで費用は様々

不用品回収業者の料金体系には、おおまかに分けて『個別料金』と『パック料金』があります。個別の場合は1回の基本料金に、引き取ってもらいたい品ごとの料金を合計していきます。

パック料金は、トラックの荷台に載せられる分なら積み放題という定額料金です。ごみがたくさんあるときは、個別よりもパック料金のほうがお得になります。また、運び出すときにドアを外したり、ベランダから吊り下げたりといった特殊な作業が必要な場合は、別途作業料金を支払います。

家電リサイクル法対象の家電製品については、リサイクル料金が含まれている場合と別途請求となる場合があるので、見積もりのときによく確認しましょう。

業者のチェックは忘れずに

便利な不用品回収業者ですが、料金が相場より安すぎたり、無料で回収したりするような業者には注意が必要です。このような業者は、自治体の許可を受けていないことが多く、回収したごみを適切に処理せず不法投棄している可能性があります。

家庭のごみを処理するためには『一般廃棄物処理業許可』が必要となります。間違えやすいものに『産業廃棄物処理業許可』がありますが、これは工場など事業所のごみを処理するための許可ですから、家庭から出るごみは扱えません。

業者に問い合わせするときに、『一般廃棄物処理業許可』を受けているかどうかを必ず確認するようにしてください。

リサイクルショップや買取業者に売る場合

引越しのときは、まだ使えるものでも新しく買い替えたり、新居には合わないので持っていけなかったりして粗大ごみとなってしまうものが多くあります。

こうした不用品は『リサイクルショップ』などに持っていくと、処分費用がかからないばかりか意外な値段で買取ってもらえることもあります。

買取業者にもいろいろありますが、引越しのようにたくさんの不用品をまとめて処分する場合は扱うジャンルが広く、買取れないものも回収してくれたり、自宅まで取りに来てくれたりする業者が便利です。

幅広いジャンルを扱うリサイクルショップ

引越しのときは粗大ごみだけでなく、衣類や趣味のグッズなど小さな不用品もたくさん出ます。ジャンルを問わずいろいろなものを買取っているリサイクルショップなら、細かいものもまとめて処分できます。

ハードオフでは、カメラや腕時計、DVDやゲームソフトはもちろん壊れた製品や部品だけでも買取対象になっています。

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買取と回収の両方を依頼できる買取業者も

買取専門業者に見積もりをしてもらったときに、値段がつかず買取れないものが出てくることもあります。普段なら、そうした不用品は別途自分で処理すればいいのですが、引越しで時間がないときは困ります。

そうした場合は、買取れないものも一緒にそのまま回収してくれる業者がおすすめです。

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出張買取を使うと便利

自分でリサイクルショップに持ち込むのが難しい、大型の家具や家電は出張買取が便利です。

荷造りの合間に電話やネットで依頼するだけで、見積もりから処分までスピーディーに終わらせることができます。

不用品買取、回収とお引越しのファイトサービス

その他の方法

回収や買取のほかに、粗大ごみを処分する方法としては、『オークション』や『フリマアプリで売る』『知り合いに譲る』『寄付をする』などがあります。

オークションなどは時間がかかり、うまく売れるとも限らないので忙しい引越し前には向いていませんが、譲ったり寄付したりすることは比較的簡単にできるのでおすすめです。

友人などに譲る

家具や家電、自転車などは欲しがっている友人や親族などがいたら、譲るとお互いに得になります。大型のタンスやテレビなど、自分で梱包したり運んだりするのが難しいものでも、宅配業者で代行してくれるので意外と簡単です。

心当たりの知り合いがいたら、処分の前に一度声をかけてみるとよいでしょう。

寄付をする

まだ十分使えるものや、需要の多いものは寄付をすることもできます。寄付先には東南アジアやアフリカなどの発展途上国に支援を行うNPO団体や、地域の福祉施設などがあります。

とくに子供用の自転車や三輪車、電化製品、ミシンなどは寄付すると喜ばれやすいでしょう。

ただしあまりにも古いものや汚れているもの、壊れているものを送るとかえって迷惑をかけてしまいます。寄付する場合は相手の立場になってみて、もらって嬉しいものかどうかをよく考えてみましょう。

引越しに間に合わない場合には

急に引越しが決まったときや、忙しくて粗大ごみの処分にまで手が回らないまま当日を迎えてしまったときは、別の手段をとることになります。

新居に持っていくのも大変でしょうが、とにかく放置せず責任をもって処分することが大切です。

新居に運ぶ

基本的に、引越し前に処分できなかった粗大ごみは、新居にそのまま持っていくしかありません。最悪の場合だと引越しトラックに載せ切れず、別途運賃がかかってしまうこともあります。

また、慣れない引越し先で粗大ごみの処分をするのは、引越し前よりも大変です。そんなことにならないように、余裕をもって行動したいですね。

大家さんに頼んでみる

もし賃貸住宅に住んでいて、大家さんと懇意にしているようでしたら残った粗大ごみの処分を頼んでみるのも手です。近所に気軽に頼めそうな方がいれば、その方にお願いしてもよいでしょう。

ただし、依頼するのは最低限の作業だけにしましょう。もちろん料金は支払っておき、回収の手配も済ませたうえで回収日まで預かってもらう程度であれば、引き受けてもらえるかもしれません。

引き受けてくれた方には、お礼をするのを忘れないようにしてください。

放置はしない

一番やってはいけないことが、ごみを放置したまま引越してしまうことです。粗大ごみに限らず、生ごみなどを回収日以外の日に集積所に出していったり、部屋の中やベランダに置いていったりするのは絶対にやめましょう。

放置されたごみは、最終的には管理会社や大家さんが処分しなければなりません。お世話になった方に迷惑をかけることになりますし、当然、処理にかかった費用を請求されます。

お金の問題以前に人間性が問われることになりますから、マナーを守って引越しをしてください。

まとめ

引越しのときは思った以上に粗大ごみが出るものです。時間と予算に余裕を持って処分していくことが大切です。

引越すことが決まったら、荷造りや各種手続きと同時に、粗大ごみの処分計画もたてておくと、スムーズに進むでしょう。

捨てたかったものまで新居に持っていかなくて済むように、計画的に処分してすっきりと新生活を迎えてください。