部屋が散らかっていることを把握しているにもかかわらず、なぜ片付けができないのか、その心理を解説しています。また、病気で片付けができないケースについてもまとめました。片付けるときの心がけも紹介しています。

散らかっていることに自覚がある人は多い

自分の部屋が散らかっている自覚を持っている人は多く、人を呼ぶたびに大がかりな掃除をしたり、周囲の人に散らかっていることを指摘されることがあります。

部屋が散らかっていることを分かっている場合、整理整頓を心がけたいと感じている人が大半です。しかし、心理的なハードルが高くなかなか片付けができないケースもあります。

整理整頓したい、改善したいと思っている

部屋が散らかっていると自覚している場合、友人や親の訪問があるときに掃除をしている人も多く、本当は常に整理整頓したいと考えていることがわかります。

また、親に怒られることや友人から指摘を受けているケースもあり、まったく問題ないと感じている人は少数です。

改善することができれば周囲から指摘や注意を受けることもなく、友人や親の訪問時も慌てることがありません。部屋が散らかる原因や理由を分かっているだけに、改善したいと考えている人が大半です。

心理的なハードルから片付けができない

整理整頓を心がけたいと考えている人が多いにもかかわらず、部屋が散らかってしまう原因は『片付け』に関する心理的なハードルが高いことがあげられます。

気持ちの面で片付けができないケースは1種類ではなく、周囲の状況や余裕の有無など、複雑に絡み合うことが特徴です。

部屋を片付けられない心理状態とは?

部屋を片付けられない主な原因は、時間がないことや、精神的な余裕を持てないことです。また、部屋をきれいにすると言っても、何からやればいいのか分からない人も増えています。

散らかったものを片付けなければならないと考えること自体に、大きなストレスを感じる人もいるでしょう。

時間や心の余裕がない

仕事や学校、他の家事などに追われて、掃除をしている時間が取れない人もいます。掃除以外にすぐやってしまわなければならないことを抱えている場合、心の余裕ができず片付けがおろそかになってしまうことも考えられるでしょう。

もちろん、一時的に多忙なだけであれば、落ち着いた頃に再び掃除をする余裕が生まれてくるため、大きな問題ではありません。

常に忙しく、時間的余裕も精神的余裕もない場合は少し問題です。短時間でも片付けに割く時間を作らなければ、部屋は汚れたままになってしまいます。

どこから手を付ければいいかわからない

今まで実家暮らしで掃除をほぼ親に任せていた人や、奥さんに掃除を任せていた男性が単身赴任をした場合などに多い心理状態です。そもそも部屋をどうやって片付けるのか知らないために、散らかして生活してしまいます。

いつもの癖で部屋を散らかったまま放置していたら、片付ける人がいないのですから部屋は散らかり放題です。部屋がひどい状態になってから気がついたとしても、何から手を付ければいいかわからなくなってしまいます。

手を動かせば片付けは進んでいきますが、不要なものと必要なものが混ざっていると仕分けだけでも時間がかかるでしょう。分別だけしているうちに時間が経ってしまい、結局片付かないなど、問題も出てきます。

このパターンの場合、整理や収納のやり方を覚えてしまえば問題ないことが大半です。しかし、中には何らかの病気や精神的な問題で片付けが進まないケースもあります。

片付けのことを考えることがストレス

部屋の片付けは、多少なりとも時間がかかります。時間や心に余裕がないときや、どうやって片付ければいいのかわからないときは掃除のことを考えるだけでもストレスです。

また、そもそも掃除が嫌いな人は、片付けのことを考えるだけで気分が落ち込みます。嫌なことはできるだけ後回しにしてしまいたいと考える心理から、そのまま放置してしまうこともあるでしょう。

しかし、膨大な時間がかかるようになってから手をつけるよりも、早く取り掛かった方が気が楽になるのではないでしょうか。

片付けることを諦めている人も

そもそも、片付けすること自体を諦めてしまう人もいます。

片付けたとしても一時的なことで、すぐに散らかってしまうだろう、とある意味達観している人や、散らかっていて特段支障を感じていない人など、人によって考え方はさまざまです。

すぐにまた散らかってしまうから

毎日定期的に整理しているのではなく、部屋の状態が気になってからまとめて取り掛かるタイプに多い考え方です。また、小さな子どもがいる家庭などでは、一生懸命掃除をしてもすぐにおもちゃが散乱してしまうこともあるでしょう。

子どもの有無にかかわらず、服や小物を出しっぱなしにしてしまう癖があれば同じことです。収納スペースが足りない家でも、同じことが起こります。

掃除をしても、すぐに散らかってしまえばモチベーションも続きません。片付けた状態を維持できないと、掃除をする気力がおきなくなるため注意が必要です。

大きな問題がないから

散らかっていても自分では物の位置を把握している場合や、部屋に人が来ることがほとんどない場合に多い考え方です。服や小物が散乱していても、生活にはそれほど支障がありません。

中には、わざわざタンスや引き出しから服や小物を出さなくても良いから便利、と感じる人もいるでしょう。

場合によってはゴミや不要なものをそのままにしていても、特に問題ないと感じる人もいます。

邪魔だと思うことはあるかもしれませんが、服や雑貨程度ならすぐに病気やトラブルに発展するわけではありません。臭いや汚れなど直接的な問題がなければ、掃除を諦めてしまう人もいます。

病気が原因で片付けられない人もいる

その気になればきちんと部屋を美しく保てる人もいますが、病気が原因の場合は少し状況が変わります。うつ病や認知症、発達障害などでは、やる気や気持ちの問題ではなく、どうしても片付けが進みません。

うつ病や認知症

うつ病は掃除だけでなく、生活全般的なことに対して意欲や興味がなくなってしまいます。片付けをする意欲がわかず、どうでもよいと考えてしまうこともあるでしょう。

掃除だけでなく、ほとんどのことに興味が持てなくなったり、やる気が起こらないときは精神的な問題が発生していることも疑うことも大切です。

認知症も、判断力の低下をまねく病気です。普段何も考えず片付けをしているように思いますが、認知症が進むとどこに何をしまえばいいのかわからなくなります。

また、うつ病と同じくやる気がなくなることも特徴です。今まできれいに片付けができていた人が、急に掃除できなくなったときは病気を疑ってみても良いでしょう。

発達障害

発達障害の中でも、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、片付けをはじめても余計散らかってしまったり、途中で他のことが気になってしまったりすることが多い病気です。

ADHDは脳の機能的な問題で、ひとつのことに集中することができません。自分ではやる気があって実際に掃除してみるものの、どうしても結果が出ない場合は、発達障害などの病気を考えてみましょう。

ADHDの主な特徴は、『何かをやったらやりっぱなし』『忘れ物が多い』『計画的に行動できない』などです。心当たりがある場合は、一度病院で調べてみるのもおすすめです。

発達障害が原因の場合は、特徴を活かして簡単に片付けを進める方法など、同じ病気で悩んでいる人からアドバイスを受けることもできます。

部屋が散らかってしまう理由

特に散らかしているつもりはないのに、部屋が汚くなってしまう理由はいくつかあります。そもそも物が多すぎて収納しきれていない場合や、使ったものを出したままにしてしまうなどが主な原因です。

片付けているつもりなのに、さらに部屋が散らかってしまう場合は、普段の心がけや部屋にある物の量などをもう一度チェックしてみましょう。

物が多い、捨てられない

部屋の中に物が多くなると、どうしてもその辺に散乱しがちです。収納に収まりきらなくなることも多くなります。今使わないものでも捨てられず、つい取っておいてしまうなど、心当たりがある場合は注意しましょう。

服はタンスにしまえる分だけにする、必要になるかわからない空き瓶や箱などはすぐに捨てるなど、対策を考えましょう。必要なものだけで生活すれば、片付けもスムーズに進みます。

使ったものを元あった場所へ戻さない

ハサミやペンなどの使う機会が多い文房具や、ちょっとした小物類などを収納するスペースは決めておきましょう。使ったとき、すぐに元あった場所に戻さないと、散らかる原因です。

場合によっては、どこに何があるかわからなくなり、引き出しをひっくり返して探すことになります。また、収納スペースに片付けるのではなく、外に出しっぱなしにしてしまうとさらに部屋が散らかってしまうでしょう。

『出したらしまう』を徹底するだけで、部屋の中に物が散乱することを避けられます。

片付けるためにできる心がけ

片付けを毎日定期的に行うと、きれいな状態を維持しやすくなります。散らかる前に片付けることで、やる気を維持できるでしょう。

まずは1日数分でも片付けを習慣化することや、出したものをすぐにしまうなど、できることからはじめましょう。

片付けを習慣化する

散らかるまで放っておいて、人が来るときや、気になったときだけまとめて片付けるよりも、毎日の習慣にしてしまう方が、掃除をしやすくなります。

ちょっとした空き時間や物を使ったときなど、その場その場で完結させてしまえば掃除が面倒になりません。ゴミが出たらきちんとゴミ箱に捨て、服や小物類は出したときに片付けるなど良い習慣を作りましょう。

使い終わったらすぐに片付ける

ノートとペンを出してきて何かを書いた場合、机や床に出しっぱなしにするのはやめましょう。使い終わったら、あらかじめ決めておいた収納スペースに戻すだけです。

また、出かける前に服を出してコーディネートに迷った場合も、必要のない服は戻してから出かけましょう。すべての物を同じように扱えば、収納スペース以外に何かが散乱することはありません。

『出したものはすぐに元に戻す』と意識しておけば、部屋中に物を出しっぱなしにすることもないでしょう。

毎日10分間の掃除時間を設ける

朝出かける前は、忙しくて掃除をしている時間がない人でも、帰ってきて寝る前のちょっとした時間に片付けをする時間を設けましょう。10分程度の短時間で構いません。

時間が取れないときでも、5分や10分程度なら片付けに時間が割けるのではないでしょうか。まとめてやらなければならないときよりもストレスが少なく、散らかった状態になる前に掃除をするのでモチベーションも維持できます。

物を買わない、いらないものを捨てる

最初から物を買わないように心がけたり、部屋にあるいらないものを捨てるのも、効率的です。物さえなければ、掃除も短時間で終わります。

片付けのほとんどは、散乱したものを収納スペースに収めたり、不要なものを捨てたりする作業に使われるためです。物がない状態ならば、掃除機をかけたり、窓を拭いたりなどの根本的な清掃作業だけで掃除が完了します。

あまり着ない服を捨てる、必要ではない書類や郵便物をどんどん捨てるだけでも効果は感じられるでしょう。使っていない食器、家電、多すぎる雑貨など、まずは部屋にあるものを見直してみてはどうでしょうか。

それでも片付けられないときは?

毎日少しずつ時間を取って不要品を捨てるなど、努力してみても片付けられないときは、自分だけではなく外部の力を借りてみることもひとつの方法です。

たとえば整理に関するアドバイスをしてくれるプロの力を借りたり、精神的なケアを取り入れたりする方法があります。元々片付けが苦手で、なかなか掃除が進まないときは、別の観点からアプローチしてみることも有効です。

プロの手を借りる

部屋の片付けにアドバイスをしてくれる『整理収納アドバイザー』の手を借りるのも、何から手を付ければいいかわからない人に有効な手段です。

アドバイザーは自宅に訪問するなどして、それぞれの悩みに合わせた解決方法をアドバイスしてくれます。簡単で効率的な収納方法がわかれば、自分でも掃除がスムーズに進むでしょう。

物が多すぎることや、面倒な収納棚を使ってるなど、片付けができない原因を客観的に特定したい人にぴったりです。

メンタルケアする

忙しすぎて時間がない人や、心の余裕が持てない人はメンタルケアを意識してみましょう。少しの時間でもゆっくり休んで余裕を作ることで、精神的に落ち着けば片付けの意欲もわいてくるかもしれません。

趣味の時間をもつことや、1日のうち短時間でもくつろげる時間を作ることも良い方法です。うつ病などの病気でなくても、慌ただしく過ごしているうちに片付けまで手が回らなくなることもあります。

普段の生活が忙しすぎると感じている人は、一度生活全体を見直してみましょう。

まとめ

片付けができず、部屋が散らかっていると感じる人はたくさんいます。しかし、時間や心に余裕が持てないなど、心理状態が不安定なときは掃除の意欲もわいてきません。

すぐに散らかってしまう状況にある人も、掃除をしてもあまり意味がないと諦めてしまいがちです。

毎日少しずつでも片付けの時間を取り、きれいな部屋を維持することでモチベーションも高まります。どうしても片付けられないならプロに相談したり、うつ病や認知症、発達障害などの病気を疑ってみましょう。