「部屋を片付けられない」と悩む人の理由は、それぞれ違います。まずは片付け下手な人の特徴や性格をチェックして、自分の『原因』を探ってみてはいかがでしょうか。片付けられない人の性格や原因、向き合い方を紹介します。

部屋を片付けられない理由

部屋は心のコンディションを表す場合が多く、「部屋を片付けられない」という人には何らかの理由があります。片付けられない人の『理由』にはどんなものがあるのでしょうか。

物を捨てられない

「物を捨てるのが勿体ない」と考える人ほど、部屋は散らかりやすくなります。

部屋のスペースには限りがあり、綺麗な部屋をキープするためには、古いもの・不要なものは排除していかなければなりません。ところが物を捨てられない人は物を増やすばかりで減らせないため、物が溢れて散らかってしまうのです。

「勿体ない」「いつか使うかも」と考えるのは、物への執着が強いからです。このタイプの人は、物への執着心を抑え、「物を捨てても喪失感を感じない」ようにトレーニングしていくとよいでしょう。

具体的には、溢れかえった物を手に取り「これは本当に必要か?」と問いかけることです。自分自身に問いかけて納得させることで、徐々に不要な物を手放せるようになるでしょう。

整理整頓できない

部屋の片付けには、『いる』『いらない』の判断が必要ですが、片付け下手な人の多くはこの判断が苦手で、整理整頓できません。このようにある意味『優柔不断』な人は、物事にプライオリティをつけ、最後までやり遂げることが重要です。

まずは『やることリスト』を作成し、1つ1つ確実にこなせるようにしましょう。物事を中途半端に終わらせない癖がつけば、自然と部屋も片付くようになるかもしれません。

片付けられないのは病気?原因は

近年話題になる『ゴミ屋敷』は、片付けられない人の行き着く先かもしれません。「自分には関係ない」と思う人もいるかもしれませんが、『片付けられない』理由には性格的・心理的要因のほか、病気が潜んでいる場合もあります。他人事と思わずに、自分が「なぜ片付けられないか」を考えることが重要です。

『片付けができない』の背景に隠れる、心理的要因や病気について考えてみましょう。

性格や、多忙で片付ける心理的余裕がない

整理整頓に不向きな『優柔不断タイプの人』や、多忙すぎて部屋を片付ける『心理的・時間的余裕がない人』ほど部屋は散らかっていきます。

部屋を片付けるには、『物の定位置を決める』『コツコツ少しずつ収納する』『不要なものを見極め、潔く捨てる』ことが必要です。ところが、性格的にこれらができない人や忙しすぎて気が回らない人は、このうちの1つを行うのも困難になります。

性格的に片付けられない人は『出したものをしまう』ことを常に意識する、多忙な人は『片付ける必要がないような状態をキープする』ことが重要です。とくに多忙な人は『いかに片付けるか』ではなく『どうしたら片付けずに済むか』を考えることをおすすめします。

片付けの手間を省くお掃除ロボットや食洗器を導入すれば、負担なく綺麗な状態をキープする助けとなるでしょう。

ADHDなどの発達障害

片付けができない原因の1つとして、『ADHD』などの発達障害も考えられます。

ADHDは『Attention-Deficit Hyperactivity Disorder』の略で、『多動症・注意欠如』と訳されます。ADHDの人は『多動』『不注意』『衝動的』である場合が多く、この症状がある人は、概して片付けが苦手です。

また、『アスペルガー症候群』という発達障害の一種の場合は、『限定的な物への強い執着』が見られます。こだわりが強すぎて物を捨てられず、物を溜め込んでしまいます。しかし、どんなに部屋が散らかっていたとしても、想像力を働かせることが苦手で整理整頓ができないため、散らかったままになってしまうのです。

発達障害の人が片付けできない原因は環境や性格でなく、『脳の機能障害』にあります。治そうとしても治るものではないので、気になることがある人は専門医を訪ねることをおすすめします。

うつ病など精神疾患の可能性も

部屋を片付けられない人は、うつ病などによって精神を患い、片付ける気力が失われているのかもしれません。

部屋を片付けるには、前述のように物の定位置を決めたり、捨てるものを判別したりする必要があります。こうした行動は精神状態が良い時は苦もなく行えますが、精神状態が著しく悪いと気力が湧いてきません。

近年は、一見するとただのわがままともみえる『非定型うつ病』も見られるといいます。このタイプのうつ病は、好きな事は普通にできるのに、苦手な事・嫌な事には体が動かなくなる病気です。うつ病とわかりにくい上、若い女性にも多いので、精神的に不安定な人はまず専門医に相談してみましょう。

片付けられない人の傾向

部屋が片付かないと嘆く人には、多くの共通点が見られます。片付けられない人にはどのような傾向があるのでしょうか。

片付けられない人の特徴

片付けられない人には、次のような特徴が見られます。

  • 何でも『勿体ない』
  • 仕事ができない
  • ストレスを感じやすい
  • 部屋の汚さに気づかない

すぐに「勿体ない」という人は、前述の『捨てられない人』です。このような人は安売りやセールなど『お得感のあるもの』にも弱く、不要な物をため込んでしまいます。また、仕事にミスが多い・段取りができない人の多くは、同様に部屋の片づけも苦手です。

一方、ストレスを感じやすい人は、衝動買いなどでつい浪費しやすく、不要な物を増やしてしまう傾向があります。

また、部屋の汚さに気づけない人は、「片付ける」という考えさえ浮かびません。まずは人を招いて、部屋の状態をジャッジしてもらうとよいでしょう。

男女の違いはある?

片付けできる、できないに男女の違いはありません。違いは育ってきた環境や現在の生活状態によるものが多く、特に『親が片付けできる人かどうか』は大きいようです。

片付けの得手不得手に性差はないので、「男だから」「女なのに」と悩む必要はありません。

加齢によりゴミ屋敷化が進む場合も

年をとると、気力はあっても体力的に片付けできない場合があります。さらに認知症の発症により、物忘れがひどくなったり無気力になったりすれば、片付けはさらに困難です。

また、認知症の症状の1つには『物を収集する』というケースもあります。これが発症するとさらに不要物が増え、家全体のゴミ屋敷化が加速するおそれもあります。

配偶者や息子、娘が片付けられない場合

家族で住んでいる場合、自分が片付けても家族が散らかす、ということもあるでしょう。家族の誰かが『片付けられない人』だった場合、どのように対処すべきなのでしょうか。

理由、原因を明らかにする

まず重要なのは、『なぜ片付けられないのか』を明確にすることです。片付けられない原因には、病気や不安定な精神状態がかかわっている場合があるというのは前述しました。

まずは専門家の意見を聞くことで、対処法も見えてくるでしょう。

一緒に片付けたり、代行サービスを利用

専門家の意見を聞き、家族に発達障害やうつ病が認められた場合、周囲の人間が意識を変えていくことが重要です。この場合片付けられないのは本人の意思や性格とは関係ないので、家族を責めても仕方ありません。

家族ができないなら自分から動く、一緒に片付けるなどすることで綺麗な部屋はキープできます。『片付けが苦手』ということを家族の個性の1つとして受け止め、お互いのストレスを軽減することに注力しましょう。

また、どうしても部屋が片付かない時は『家事代行サービス』を利用するという方法もあります。片付けに固執せず、お互いが気持ちよく過ごせる方法を見つける方が賢明です。

改善方法は?

片付けられない・片付けが苦手だからといって、部屋をそのまま放置していてはゴミ屋敷に近づくばかりです。
まずは自分の意識を変え、『散らかりにくい部屋』を目指しましょう。いつも部屋を綺麗な状態に保つには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

散らかった状況を改善する

散らかった部屋を見渡すと、物が多すぎると感じませんか?このような状況を改善するには、まず『不要物の処理』から始めることをおすすめします。

近年ブームになった『断捨離』は、不用品を断ち、捨て、物への執着から離れることを指します。不要なものを排除していけば、物の収納場所に困ることもなく、片付けやすい部屋になるでしょう。

また、断捨離で不要物を捨てることは、心にたまっていたストレスを解放する効果もあります。片付けを妨げていたストレスが軽減することで、片付けに向かうやる気も湧いてくるかもしれません。

散らかさないように対策をする

部屋が散らかっていなければ、片付ける必要もありません。片付けが苦手な人は、はじめから散らかさないようにしておけば、安心です。

そこでまずは、『新たに物を増やさない』ことに注意しましょう。部屋の片付けを始める際、片付けが苦手な人ほど収納用品を購入しようとする傾向があります。確かに収納用品は必要ですが、数が増えればそれ自体が『不要な物』となることを承知しておきましょう。

片付ける時は収納用品を増やすのではなく、今ある物を減らすことが大切です。どうしても捨てられない人、勿体ないと考えてしまう人は、家族や友人と一緒に、あるいは業者に依頼して片付けしてみてはいかがでしょうか。

整理整頓の良さを実感する

片付いた部屋は、散らかった部屋よりも多くのメリットがあります。

  • 時間
  • 経済
  • 精神

部屋が片付いていれば、物を探して時間を無駄にすることはありません。また何がどこにあるかわかっているので、不要な物や同じ物を購入することがなくなり、無駄買いも防げます。心地よい部屋で過ごせば気分も安らぎ、毎日の生活に充足感を感じるようになるでしょう。

一方散らかった部屋は、時間もお金も心も無駄に消費されがちです。いわゆる『汚部屋』にまで発展すれば、ダニ、カビ、ホコリ、害虫による健康被害も心配されます。部屋を綺麗に片付けておくメリットは想像以上に大きいと承知しておきましょう。

まとめ

多くの人が部屋を片付けられないと悩んでいますが、理由や原因は様々です。片付けが苦手という人は、単に気分の問題なのか、ストレスなのか、病気なのか、原因をはっきりさせると対処しやすくなります。

また、原因が発達障害やうつ病などによる場合、無理に片付けようとするのはストレスがたまり、逆効果です。
周囲の人間が相手を理解し、協力して動くようにしましょう。

部屋を綺麗な状態に保つには、不要な物を持たない、捨てる勇気を持つことが重要です。まずは周囲を見回して、長期間使用していない物は処分するなど、部屋の断捨離からスタートしてみてはいかがでしょうか。