ライフスタイルやインテリアデザインの好みの変化などによって、それまで使っていたタンスがどうにもしっくりこなくなり、それまで使っていたタンスを処分したくなることがあります。大きさも重さもあるタンスをごみとして出すには、分類や処分方法をどうすればよいのかを解説します。
タンスの処分について
タンスを処分する方法は、タンスに限らず『家具全般に共通している』ので、基礎知識として覚えておくと便利です。
基本は粗大ごみ
タンスは『箱物家具』と呼ばれ、自治体のごみの分類の中では『粗大ごみ』にあたります。粗大ごみと一口に言っても、その基準は一律ではありません。そのため、素材が木などの燃えるものであっても、燃えるゴミに出してはいけません。
粗大ごみの捨て方は次の通りです。
- 郵便局またはコンビニで『粗大ごみ処理券(※)』を必要枚数購入する
- 回収日時を自治体に予約して、『回収日当日』に収集所に自分で持っていく
(※):粗大ごみの料金を前払いにするための券。タンスの大きさによって料金が変わる
小さく解体すれば燃えるごみにも
タンスはそのままの大きさでは粗大ごみですが、解体して小さくすれば燃えるごみとして出すことができます。小さめのタンスであれば、のこぎりやバールなどを使って50cm以下の大きさにし、ごみ袋に詰めれば燃えるごみとして収集してもらえます(自治体によって基準に違いあり)
大きめのタンスの場合、解体するのはとても大変な作業であり、ごみ袋に詰めてもかなりの袋数になります。1度の収集ではなく、小分けに出すことになります。解体作業には危険を伴う場合があるので、無理をしないようにしましょう。
粗大ごみの自治体回収
粗大ごみを自治体に回収してもらうための手順を紹介します。
処分費や手続きは自治体によって異なる
基本的にタンスの処分費は、タンスの『大きさ』によって異なります。大きさの基準は、タンスの3辺のうち長い2辺の合計の長さで表し、4~5段階に分かれているところが多いです。
大きさが大きくなるごとに処分費用も高くなりますが、その価格設定も手続きも自治体によって違います。自分の住んでいる自治体に電話で問い合わせたり、ホームぺージを見たりして必ず確認しましょう。
一般的な手続き
タンスを粗大ごみとして、指定日に収集所に出すまでの流れを紹介します。
まず、処分しようとしているタンスの大きさをはかります。そのうえで最寄りの自治体の粗大ごみの、『タンス』の項目の中から処理したいタンスのサイズを確認し、料金を調べましょう。自治体に連絡が取れる時間帯であれば、直接電話で問い合わせてもOKです。
ごみ処理券の購入と搬出
処分したいタンスの粗大ごみ料金がわかったら、次に必要なのが『ごみ処理券』です。ごみ処理券は郵便局やスーパー、コンビニなどで売られているほか、『有料ごみ処理券』という標識などをかかげている場所で売られています。市役所などでは取り扱っていないので注意しましょう。
次に有料ごみ処理券をタンスに貼り付け、タンスを収集所まで『搬出』します。タンスは、大きいままで運び出すのは大変危険です。形にもよりますが、引き出しなど取り出せる部分は取り外すなど、できるだけ分解すると運びやすくなるでしょう。
しかし、たとえ1階に住んでいたとしても『1人だけでの搬出は難しい』です。手伝ってくれる人を探しましょう。手伝ってくれる人がいない、2階住まいでどう考えても無理という場合には、引っ越し業者や不用品回収業者に有料で搬出を依頼することになります。
運び出しサービスが受けられる場合も
タンスの運搬を業者に依頼すると、必ず料金が発生しますが、条件によっては、部屋や玄関からタンスを無料で運び出してもらえる、自治体に認められたサービスが受けられる場合もあります。
『粗大ごみを指定の場所まで出せる同居親族がなく、身近な人の協力も得られない』ことが前提の次のようなケースです。
- 65歳以上の人のみの世帯
- 障害者のみの世帯
本人もしくは立会人が運び出しに立ち会うことで完了します。この場合の運搬は無料ですが、粗大ごみ処理券は必要です。
指定場所への持ち込み
タンスの処分として、自治体の指定場所に自分で持ち込むという方法があります。粗大ごみ受付センターやクリーンセンターなどがそれにあたります。住んでいる地区によって名称は違いますので、確認してから行いましょう。
申込など流れは同じ
自治体のホームページなどで、指定場所の営業時間や受付時間を確認します。通常の粗大ごみを出すまでの流れと同じで、処分に必要な粗大ごみ券を購入しておきましょう(貼らずに持っていきます)
『自治体によっては持ち込み自体を受け付けていないところもある』ので、先に必ず確認してください。指定場所に連絡を取ったのち、持ち込みをする際には次のものを忘れないようにしましょう。
- 粗大ごみ処理券(氏名を記入する)
- 本人確認書類(パスポート・運転免許証・健康保険証など)
他の地域の人が勝手に粗大ごみを持ち込むことを避けるために、住所を始めとする本人確認書類は必ず必要になりますので、忘れないようにしましょう。
手数料が割安になるメリット
タンスを指定場所に持ち込むと、東京都の場合『粗大ごみ持ち込み制度』が適用になり、次のように手数料が割安になります。※区によって金額がことなる場合があります
- 粗大ごみ収集手数料が400円→無料
- 粗大ごみ収集手数料が800円→400円
- 粗大ごみ収集手数料が1200円→800円
- 粗大ごみ収集手数料が2000円→1200円
- 粗大ごみ収集手数料が2800円→2000円
東京都以外の自治体でも、自分で指定場所に粗大ごみを持ち込むと料金が割引になったり、地域によっては手数料が無料になるところもあります。
現金払いの自治体も
タンスを指定場所へ直接持っていくという場合、自治体によっては粗大ごみ処理券ではなく、現金のみで支払うケースがあります。
その場合、タンスの大きさでの料金設定ではなく、タンスの『重さ10㎏につき110~300円程度』かかる計算方法になっており、その料金も自治体によって違います。計量してもらい、その場で支払います。
自分の地域の指定場所は粗大ごみ処理券を使うのか、現金での支払いなのかをあらかじめチェックしておきましょう。
不用品回収業者に依頼する場合
自治体経由のタンス処分は、スケジュールが合わないという人も多く、粗大ごみとして決められた日に集積所に運搬すること自体が難しいという人は少なくありません。そんなときには、不用品回収業者への依頼がおすすめです。
回収業者に依頼するメリット
回収業者にタンスの処分を依頼するメリットは、なんと言っても『便利さ』です。不用品回収のプロであるため、依頼する側はタンスの中身を空にさえしておけば、あとはすべてお任せでOKです。
2階以上に置いてあるタンスで、狭い通路や階段で階下に下ろせない場合でも、クレーンなどを使って窓から下ろすなど、普通の人にはできない作業もプロならではの技術で対応が可能です。
時間も指定でき、業者によっては夜中でも応じてくれます。タンスの状態によっては、買取をしてもらえる場合もあります。
相場
引っ越し業者や生前整理、遺品整理業者と違い、タンス1棹からでも引き取ってくれるのが回収業者です。タンスの引き取り相場は、2000~8000円となっており、業者によって違いがあります。タンスの大きさや形によっても変動します。
このほかに出張費や運搬代金がかかり、距離によって変わりますが4000~7000円程度かかりますので、合わせると6000~15000円程度かかるということになります。
無許可の業者に注意
トラックなどで巡回し、スピーカーで不用品回収を叫んでいたり、空き地にのぼりを立てて仮設の不用品回収を始めたり、チラシをポストに投函したりという業者は、無許可の不用品回収業者だと疑ってみるべきです。
無許可の業者は『産業廃棄物処理業』の許可や『古物商』許可を持っていることを主張している業者が多いのですが、これらの資格だけでは家庭から出た廃棄物であるタンスを処分する資格になりません。無許可の業者ということになります。
あくまでもタンスの処分が許されているのは『一般廃棄物処理業』の許可を持っている業者です。無許可の業者の利用は、料金や不法投棄、個人情報の悪用などのトラブルが起きやすいので避けましょう。
札幌市等、民間に許可していない自治体も
北海道の札幌市では、家庭から排出される不用品を取り扱うのは『一般廃棄物収集運搬事業許可』が必須とされているだけでなく『財団法人札幌市環境事業公社』1社のみが、その取り扱いを許されています。
そのため、民間の業者の活動は一切許可されていないので、外部から札幌市に引っ越した人などは注意が必要です。
主な回収業者
タンスを処分するために欠かせない資格『一般廃棄物収集運搬事業許可』をもった、信頼できる回収業者を紹介します。
神奈川県横浜市 株式会社ゼロインターナショナル
横浜市に本社を持つ『株式会社ゼロインターナショナル』は、東京・神奈川を中心に粗大ごみ回収をはじめ、放置自転車・放置バイクの撤去、建物解体工事を行う業者です。
回収したものは、海外への輸出・販売もしています。分別を徹底しているので処分費の削減につながり、その分回収料金がお得になっています。
不要品は1つから対応しているので、タンスの処分に悩んでいる人は、電話かFAX、メールで無料見積もりをしてもらいましょう。回収料金は現金もしくは振込での支払いになります。
愛知県安城市など 不用品回収エコーズ
愛知県、三重県、岐阜県を中心に1点から大量までの不用品回収、生前整理、遺品整理を行っているほか、リサイクルショップも自社で経営し、不用品の買取も行っている業者です。
地域の人々に愛されて年間10000件の実績がある業者です。フリーダイヤルのほか、LINEやインターネットでは、24時間365日無料で見積もりをしていますので、気軽に相談してみましょう。他社よりも1円でも高ければ値段交渉も可能です。
大阪府堺市 未来環境グループ
大阪24区の粗大ごみ、不用品回収は、地球の未来までの環境のことをしっかりと考えている『未来環境グループ』にまかせてみませんか?企業や店舗、一般家庭の不要品をワンストップで行います。
大阪市内の通常の家庭ごみも定期的に収集しているおなじみの業者です。
リサイクルできる資源をすべて回収し、捨てるだけの不用品回収ではなく、ゴミを少なくすることにも力を入れています。タンスの処分に困ったら、電話かメールでまずは無料見積もりをしてみましょう。
購入店によっては引き取りも
家具を取り扱っているメーカーやショップでは、新しいタンスを購入の際に、いらなくなったタンスを引き取ってくれる場合があります。重たいタンスの処分を作業員が行ってくれるので安心でとても便利です。
このサービスを利用する場合は、タンスの中身を抜いておくのを忘れないようにしましょう。大塚家具・ベルメゾン・イケアの引き取りについて紹介します。
大塚家具
東京都港区に本社を持ち、創業1969年の歴史を持つ『大塚家具』では、購入商品の配送時に不要な家具を有料で引き取りをしています。家具ならばタンスでなくても引き取りOKなのです。
タンスの購入をして、古いタンスの引き取りを希望する場合には、同じ種類の家具ということで、『通常の半額』の料金で引き取りしています。詳しいことは大塚家具のショールームに問い合わせましょう。
ベルメゾン
ファッション・インテリア・ベビーグッズ・ビューティー・グルメギフトまで、あらゆるジャンルの商品の通信販売で知られるベルメゾンでも、いらなくなった家具を引き取ってもらえます。
『同じ種類の家具のみ無料』で引き取ってもらえるので、新しくタンスを購入し、いらないタンスを引き取ってもらうならベルメゾンでの購入はとてもお得ということになります。
ウェブ注文完了画面より『設置・組立のお届け日を指定する』をクリック→不要家具引取数を入力→お届け日の選択をして申し込みます。
イケア
大型の店舗の中に家具、キッチンや生活用品、子ども用品、アウトドア用品など幅広いジャンルの商品がある『イケア』でも家具引き取りサービスが行われています。
イケアの家具であることが条件で『使い終わったら、つぎの人へ』のキャッチコピーのように、あくまでも自社製品である必要がある理由は、イケアのアウトレットで販売する(リユースする)からです。
申し込みはウェブの家具下取り・還元サービスのフォーマットに記入して送信するだけです。入会金&年会費無料のイケアファミリーメンバーになれば、さらに10%加算で還元されます。
処分ではなく売却する方法も
持っているけれどもう使わないタンスの状態がよく、廃棄処分してしまうにはもったいない!と感じるレベルやブランド力のあるタンスならば、売ってお金に換えるという方法もあります。
その代表的な方法が、リサイクルショップとネットオークションです。
リサイクルショップ
タンスを粗大ごみに出しても、粗大ごみ処理のための料金を支払わなければなりませんが、リサイクルショップに買い取ってもらえるなら、粗大ごみ処理券の購入は必要ないうえ、逆にいくらかの収入につながる可能性があります。
キズが多かったり、汚れがあったりするものや、同じタイプのタンスの在庫が多い場合などは、引き取ってもらえないこともあります。自分の持っているタンスが買い取ってもらえるレベルのものなのかを、まずは見積もりしてもらいましょう。
ネットオークション
状態がよく、名の知れたメーカーや家具ブランドのタンスの場合、『リサイクルショップでの査定に比べて、高い価格で売れる可能性が高い』のがネットオークションです。ネットオークションの利用には、次のような注意点があります。
- タンスの状態を詳しく伝えられる文章を書く(問題点がある場合も偽りなく)
- タンスの仕様がはっきりとわかる、写りのよい画像を載せる
- 同じような商品の出品価格の相場を確認して値段を決める
- 発送方法や送料を明瞭に記載する
- 購入者との連絡をスムーズにし、梱包をしっかり確認して迅速に発送する
出品から買い手がついて発送して受け取ってもらうまで、個人同士のやりとりがとても重要です。できるだけ迅速丁寧に対応できる人に向いています。
まとめ
箱物家具と呼ばれるタンスの処理は、自治体経由と業者経由がありました。大きくて処分に困るから、気に入らないけれどしぶしぶ使っているというタンスが部屋を陣取っていませんか?思い切って粗大ごみとして捨てたり、リサイクルして処分すれば、ストレスまでもスッキリするかもしれません。これを機会にタンスの処分を検討してみてはいかがでしょうか。