掃除していない家が子供にどんな影響を与えるのか、片付けられない原因や片付ける方法と一緒に解説しています。また、ゴミ屋敷になってしまったときに起こりうるトラブルや、ゴミに囲まれて生活することの問題をまとめました。
目次
片付けられない家庭が増加
そもそも、両親が共働きで片付ける余裕がない家庭や、物の増加で片付けが追いつかない家庭が増えています。ゴミ屋敷のような状態になってしまうと、さらに片付けられない悪循環です。
共働きで余裕がない
両親のどちらかが専業で家事をしていれば、掃除にまったく時間が取れないことはあまりないでしょう。しかし、共働きの場合は、家事に時間を割く余裕がなくなります。
小さい子供がいる家庭では、さらに掃除する時間が取れません。子供の面倒を見ながら毎日食事を作り、洗濯や雑用などをしていると片付ける時間がなくなってしまいます。
特に両親ともフルタイムで働いていると、必ずしなければいけないことに時間を取られ、掃除まで気が回らないこともあるでしょう。
家庭内の物の増加
生活に余裕がなく物をむやみに買えなかった時代とは違い、家の中には物が増えています。昔はなかったスマホやPC、ゲーム、空気清浄機など、次々に便利なアイテムが発売されていることも原因です。
ホテルなどの一室には、最低限の物が用意されていますが、その数は100~150点程度しかありません。対して、一般人の家にあるアイテム数は、整理整頓されている家でも1人1500点以上です。洋服や小物類、食器などホテルにはない物もたくさん保管されています。
散らかっている家にある物の数は、さらに大量です。物が増えると片付けにも時間がかかり、掃除する気をなくしてしまうこともあるでしょう。
ゴミ屋敷も増加中
隣近所や親類と交流が盛んだった時代には少なかった、『ゴミ屋敷』も増加しています。少子高齢化により、目の行き届かない空き家が増えたことも原因の1つです。
空き家ではなく、人が住んでいるにもかかわらず、ゴミを溜め込んでしまうケースも増えています。社会から孤立している人にも多いですが、忙しく掃除の時間が取れない家庭がゴミ屋敷化するケースも増加傾向です。
掃除しないでいると、家の中の空気もよどみ、さらに無気力になるなど悪い影響も出てきます。
ゴミ屋敷での生活は子供への影響も
ゴミ屋敷のような家で暮らしていると、子供にも大きな影響を与えます。家の中で害虫が発生すれば、健康にもよくありません。体や衣服の汚れや臭いが気になるなど、家の中だけでなく、外にも問題が現れます。
はっきり汚れや臭いがわかるほどになると、子供が友達から避けられることも考えられるでしょう。周囲に影響を与える前に、掃除してきれいな部屋を目指しましょう。
害虫等による健康被害
家の中がゴミ屋敷化すると、ゴミをエサにする害虫が集まります。目に見えて毒虫などが現れることもありますが、ゴミ屋敷にいる害虫は目に見えるものだけではありません。
アレルギー発症の原因となるダニやノミ、強いかゆみが発生するシラミなど、一見するだけではわからない虫もいます。
虫の多い環境は、アレルギーや喘息、皮膚病などのトラブルが起きる原因です。自分にはアレルギーがなくても、子供がアレルギーや喘息を起こしてしまうと、命の危険さえあります。
健康被害が深刻になる前に、掃除を始めましょう。
体や服も非衛生的に
ゴミから悪臭が漂うと、衣服にも臭いがつきます。汚れが体に付着すれば、体も不衛生です。
浴室にゴミがあふれてしまうと、入浴すらできないかもしれません。かゆみや臭いの原因にもなるため、安心して入浴できる環境を作ることが大切です。
衛生環境の悪い状態が続けば、体の不調も出てきます。衣服にゴミや虫がつくようになると、皮膚炎を引き起こす可能性もあるでしょう。
たまに洗濯していても、長期間放置された汚れた服は汚れが落ちにくくなり、薄汚れてしまうこともあります。
子供は、親から与えられた物を着るしかありません。最低限、衛生的な状態の服を用意して、入浴できるよう心がけましょう。
不潔を理由に友達ができないことも
臭いがひどい、服・体が汚れているなどの理由で、友達に嫌がられることもあります。ゴミ屋敷に住んでいる当人からすると、それほどひどい状態に感じなくても、周りから見ると異常に見えるかもしれません。
衣服や体はそれほど汚れていなくても、家に友達を読んだら驚かれてしまうケースもあります。あまりにも不潔な家の場合、友達も遊びにこなくなってしまい、子供が孤立してしまうことにもつながるのではないでしょうか。
そうなる前に掃除をして、誰にとっても清潔な家を心がけましょう。
注意散漫になり学力低下にも繋がる
普段から散らかった部屋にいると、視界に余計な物が映ることになり集中力が落ちます。勉強中も集中できないことが増えるでしょう。
学習アイテムも部屋の中に散乱し、忘れ物につながります。自分の家で集中できないことから、勉強する気自体が失われてしまうかもしれません。
すっきり片付いた部屋になれば、学用品もきちんとそろい、学習する時間を作るきっかけになるでしょう。
過剰に汚い環境は虐待
忙しく掃除に時間がかけられないとしても、あまりにも汚い環境に子供を置いておくと虐待の一種とみなされます。叩く、怒るなどの直接的な攻撃以外にも、子供の世話をしない『ネグレクト』も虐待と認定されるでしょう。
掃除をしないのはネグレクトの一種
『ネグレクト』は、英語で『無視する』という意味を持ちます。片付けられない人は、掃除をしていないだけで、子供を無視したり、放置したりはしていないと考えるかもしれません。
しかし、子供に必要な衣食住を与えないことは、ネグレクトの一種です。周囲から、不潔な状態のまま子供を放置していると思われてもしかたないでしょう。
ゴミや虫だらけのゴミ屋敷に子供を置いておくと、虐待扱いされてもおかしくありません。放置がひどく、子供の心身に問題があると判断されれば、親子が引き離されてしまうケースもあります。
子供時代が大人になっても影響する
子供時代に汚い部屋で過ごすと、それが当たり前になってしまいます。掃除しなくても構わないと思い込んでしまう可能性もあり、新たな汚部屋を作り出す可能性も高いかもしれません。
当たり前と思ってしまうだけならまだしも、幼い頃にゴミや虫に囲まれて生活した経験から、精神的なトラブルに発展するケースもあります。健康面でも、アレルギーや皮膚炎が治らなくなるなど、問題は山積みです。
児童相談所への通報も
子供が放置されていると周囲が感じた場合、児童相談所へ通報されることもあります。なかなか他人の家がどうなっているのか判断はできませんが、外までゴミがあふれている家や、悪臭が漂っている場合は家の中を見なくても通報されてしまうでしょう。
また、子供の服装や体が不潔であれば、周囲が心配して相談する可能性もあります。自分では掃除をしていないだけと思っていても、虐待と判断されることがあるのです。
なぜゴミ屋敷化してしまう?
ゴミ屋敷化する原因には、時間的な余裕や精神的なゆとりがないことが挙げられます。変わった人だけがゴミ屋敷になってしまうのではなく、普通の人でも時間や心に余裕がないと、家の中にどんどんゴミが溜まってしまうことがあるのです。
また、うつ病や、『ADHD(注意欠陥・多動性障害)』などの精神的疾患によることもあります。
時間や心のゆとりがない
物理的に時間が取れないことも、ゴミ屋敷化する原因です。たとえば、両親ともフルタイムで働き、休みがほとんどない状況ではゴミ出しや洗濯、部屋の片付けの時間が取れないことがあります。
毎朝仕事に行く準備をして、子供を保育園に送り届けるだけで精一杯なことも多いのではないでしょうか。余計なゴミ出しや洗濯に、手をつける時間の余裕がない家庭はあります。
休みの日にまとめてやろうと思っていても、つい面倒になってサボってしまうことも、ゴミ屋敷が作られるきっかけです。
ストレスなどで心のゆとりがないときも、ゴミが溜まります。掃除する気力自体がわかず、部屋が散らかっていても放置してしまうためです。
うつ病やADHDなどの病気
単に面倒くさいのではなく、掃除できない病気になってしまっていることも考えられます。ストレスによるうつ病では、掃除だけでなく全てのことにやる気が起きません。
脳の発達障害の一種であるADHD(注意欠陥・多動性障害)は、脳の処理能力に問題があります。掃除しようとしても集中力が持たない人や、棚や引き出しの中をぐちゃぐちゃにしてしまう人は、一度ADHDについて専門医に相談してみましょう。
ゴミ屋敷を脱出する方法
ゴミ屋敷を脱出するには、単に片付けるだけでなく原因の特定が大切です。なぜゴミ屋敷になってしまったのかがわかれば、片付けた後に対策できます。
何が原因になっているのか特定できれば、実際に片付けを始めましょう。自分だけで掃除できないほどの状態になっていても、プロの助けを借りることもできます。
片付けられない原因を特定
片付けられない原因には、いくつかの種類があります。たとえば、『忙しすぎて掃除をしている余裕がない』のも、原因の1つです。本当にまったく時間が取れない場合は、仕事について考えてみましょう。また、他の家事を時短にするなどして、1日10分でも掃除の時間を作るようにしましょう。
精神的な問題でゴミを溜めてしまっている場合は、カウンセリングなどで心の余裕を取り戻すことも必要になるかもしれません。うつ病やADHDが原因の場合は、精神科に相談しましょう。
物を集めてしまう癖がある人でも、整理ができればゴミ屋敷にはなりません。自分の何が問題なのか、まずは自分を見つめなおしてみましょう。
部屋の片付け
自分の家がなぜゴミ屋敷になってしまったのか、原因がはっきりしたら、実際に掃除を始めましょう。とにかく片付けてしまえば、ゴミ屋敷の状態から脱却できます。
原因が解決できないままだと同じことになる可能性が高いですが、ゴミ屋敷をそのままにしておくのはさらに問題です。部屋を片付けてすっきりさせ、きれいな部屋のメリットを実感しましょう。
掃除の手順は簡単です。すべての物を、『必要な物』と『不要な物』に分けて収納するだけで部屋は片付きます。
不要な物がなくなったら、床や壁、窓などを清掃しましょう。
自力で難しい規模ならプロの手を借りる
1日がかりで掃除しても終わらないような規模なら、プロの手を借りることも考えましょう。掃除しようと思い立ったとしても、終わりが見えなければ余計に気が滅入ってしまいます。
その場合はプロのハウスクリーニングや、掃除を手伝ってくれる業者に依頼しましょう。自分でやるよりも早く、きれいな部屋が戻ってきます。
散らかりにくい収納に変える
とりあえず床に置いてしまう癖がある人は、散らかりにくい収納を作りましょう。出した物を片付けるとき、収納がすぐ近くにあれば面倒がありません。
普段帰宅したとき、無意識に床へ上着とカバンを置いてしまうなら、その場所にハンガーラックを移動してみましょう。本を読む場所が寝室だけなら、本棚は寝室に置けば出しっぱなしを防げます。
使う場所と収納の位置が合っていないときは、家具の移動で使いやすい収納を目指せます。
ゴミ屋敷へのリバウンドを防ぐ
一度きれいに片付けても、すぐに散らかった部屋に戻ってしまう経験がある人も多いのではないでしょうか。リバウンドを防ぐには、普段の心がけが大切です。
必要以上に物を増やさず、定期的に片付けるように予定を決めておきましょう。1週間に1度は掃除するなど、無理のないスケジュールを組むことがポイントです。
整理整頓を心がけ、物を増やさない
一度収納場所を決めたら、定位置を崩さないようにしましょう。床や机などに、収納されているはずの物が散乱し始めたら要注意です。
また、物が増えないように自制しましょう。必要のない試供品やサンプルをもらう、大して欲しくないセール品などを買う必要はありません。本当に必要なのか、購入前に一度考えるようにましょう。
片付いたからと物を増やしてしまうと、リバウンドの原因です。
定期的に物を処分する
ほとんど何かを買っている意識がなくても、定期的に不要品を処分しましょう。生活しているだけで少しずつ物は増えていきます。
請求書などの郵便物、お店でもらったレシートなど、気がつかない間に不要品が溜まることもあるでしょう。月に1回は増えてきた不要品を処分する機会を作れば、必要以上に増えてしまうことを防げます。
片付けの予定を決める
『休みの日は必ず片付け時間を作る』『毎日10分は掃除する』など、自分なりの予定を決めましょう。無理な予定を組む必要はありません。
短時間でも片付けに割く時間を作れば、部屋をきれいにしようとする心理が働きます。普段からちょっとしたすき間時間にゴミを捨てるだけでも、効果はあるでししょう。
子供と一緒に片付ける
子供と一緒に片付ける時間を作るのも、効果的です。ちょっとした掃除を子供にしてもらうようにすれば、時間のない家庭でも清潔な部屋が保てます。
子供部屋を自分で掃除できるように工夫するなど、子供も片付けに参加できるよう考えて生きましょう。
キレイな部屋は気持ちがいいことを知る
子供と一緒に片付けをするには、まず『掃除は楽しい』と思ってもらうことが大切です。嫌なことだと続きませんが、掃除すると部屋がきれいになって気持ちがいいと知れば、子供も積極的に片付けをしてくれます。
幼い頃からゴミ屋敷に住んでいると、綺麗な状態がどんなものか想像がつきません。まずは片付けた部屋の居心地がよいことを、子供にも知ってもらいましょう。
やり方が面倒だと、子供は飽きてしまうため注意が必要です。また、無理に複雑な収納を任せて失敗してしまうと、苦手意識が芽生えてしまうかもしれません。
簡単にきれいな部屋が作れるよう、家族がサポートしてあげましょう。
自分で片付けられる子供部屋にする
子供が片付けやすい収納は、『1つの動作だけで片付けられるもの』です。大人なら簡単なことでも、子供にとっては労力を使います。
たとえば、見えない収納を作ろうとして、引き出しの中に箱を入れるとどうなるでしょうか。手が器用に動かせない子供が、箱の中におもちゃを片付けるのは大変です。
おもちゃを1つ取り出すだけでも、引き出しを開け、箱のフタを取り、フタと引き出しを閉める作業が生まれます。途中で面倒になってしまい、フタが床に散乱し、引き出しは開けっ放しになりかねません。
子供がすぐ取り出せて片付けられるように、全体が見える収納を目指しましょう。収納も、ボックスにおもちゃを入れるだけにするなど、工夫が必要です。
まとめ
子供がいる家庭では、忙しく掃除に時間がかけられないこともあるかもしれません。しかし、あまりにも汚い部屋になってしまうと、子どもへの虐待も疑われます。
子供の健康や精神に問題が出る前に、部屋をすっきりと片付けましょう。ゴミ屋敷のような状態になっていても、プロの手を借りることで短時間で片付けられるでしょう。
片付けた後は整理整頓を心がけ、子供と一緒に掃除することも大切です。