ゴミ屋敷の片付けはやることが多く、どこから手を付けたら良いかプロでも悩む場合があります。そんなゴミ屋敷の片付けを自力でやる場合、どのような手順ですれば良いのでしょうか?ゴミ屋敷の片付けをするコツやゴミの処分方法について紹介します。
ゴミ屋敷は自力で片付けられる?
ゴミ屋敷はニュースで度々取り上げられるほど、現代社会では深刻な問題となっています。屋敷の家主が原因のケースだけではなく、近親者が亡くなった家がゴミ屋敷化していて、片付けなければならないといった場合もあるでしょう。
そのようなゴミ屋敷の片付けを業者に頼まず、自力だけで行えるのかどうかを検証していきます。
片付けられるレベルか判断
ゴミ屋敷といっても、どの程度のレベルなのかによって自力でできるかどうかは変わってくるでしょう。以下のような条件に当てはまるのであれば、自力で行うことも不可能ではありません。
- 片付けスペースが3DK以内
- お風呂やキッチン等の水回りが機能している
- 床がまだ見え、歩くことができる
ゴミの量やかかる手間の大変さを考えた場合、3DKは1つの基準です。それ以上の広さの清掃を行う場合、プロの業者でも3人以上で行うのが一般的なので、素人による片付けは難しいでしょう。
水回りが汚れていて機能していない場合も、素人が掃除をするのは困難です。掃除をするには水が不可欠ですし、雑菌やカビが大量に繁殖している場合は、後々使用することも考えてプロによる消毒をしてもらった方が良いでしょう。
床が見えないほどゴミが散乱している場合も、自力清掃は諦めた方が良いでしょう。尖った物を踏みつけたり、転倒したりして怪我をする可能性があるからです。
人手の確保が重要
ゴミ屋敷を1人で清掃するのはまず不可能です。最低でも3人以上で、数日間にわたって行う必要があります。連休などを利用して一気に進めていった方が良いでしょう。
汚部屋を他人に見られるのが恥ずかしく、1人でやりたいという人もいるかもしれませんが、粗大ゴミの持ち運びなど、1人ではできない作業もあります。片付けのためだと割り切って近しい人に助力を請いましょう。
遺品整理をする場合はさらに数日を見込んでおく必要があります。片付けをするスペースの規模によってはさらに人手が必要になります。
片付けはゴミを捨てることから
ゴミ屋敷の片付けを行う場合、最初に着手すべきはゴミを捨てることです。まずはゴミを分別して回収してもらうことからはじめましょう。
ゴミ出し日と方法を確認
ゴミを出す場合、可燃・不燃・資源・有害といった種類によって、回収の仕方と日にちが違います。回収日と違う日に別の種類のゴミを出すとマナー違反であると共に、業者が回収してくれませんので注意してください。
ゴミがどのように区分されるか、また回収日についても、自治体ごとのホームページから確認しましょう。
自治体に住んでいる人口などによって、ゴミの回収頻度は違います。可燃ゴミであれば週に2~3回回収するのが一般的ですが、ゴミの量が少ない有害ゴミや資源ゴミは、週1回か隔週で回収する自治体も多くあります。
ゴミ屋敷の清掃を行う場合、どのゴミを何曜日に出すかをきちんと把握して、なるべく日にちが近いものからまとめていきましょう。
家庭ゴミでも大量なら有料の場合も
家庭ゴミの回収は基本的には無料で自治体が行っていますが、あまりに量が多いと有料になることもあるようです。どの程度を大量と判断するかは、各自治体によりますが、例えば東京都中央区であれば1日に10kg以上のゴミの回収は有料、文京区では45lの袋が5枚以上の場合は、個別で有料回収すると定められています。
ゴミ屋敷の掃除などで大量のゴミが出ることがあらかじめわかっている場合は、ゴミが出る半月前には自治体に相談しましょう。数日前などのタイミングで相談しても、回収業者の手配が間に合わず、断られる可能性が大きいためです。
粗大ゴミの処分を手配
家具や布団、自転車などの粗大ゴミの回収には特別な手続きが必要です。自治体で回収してもらうには次のような手順を踏む必要があります。
- 回収してもらいたい粗大ゴミを選出する
- 自治体の粗大ゴミ回収の申し込みをする
- 粗大ゴミ処理券を購入する
- 粗大ゴミに処理券を貼り付けて回収日に指定位置に運ぶ
2の自治体への連絡手段は、基本的には電話が良いでしょう。処理券の枚数や価格はゴミの大きさや量によって異なりますが、電話ならその場で直接聞けます。また、回収日についても電話で相談した方が早く決まるでしょう。
回収には1週間以上、混み合っていれば3週間近く先になることもあるため、早めに連絡することをおすすめします。
床にある物からゴミ袋へ
粗大ゴミの目処がついたら、次にゴミ袋にゴミを分別しながら入れていくことになります。この時、まずは床から着手します。その理由は、床にガラスの破片や尖ったものがある場合や、床が不安定だとつまづいて転んでしまうかもしれないからです。
入り口側から奧に向けて作業していった方が、ゴミをスムーズに外に出せるでしょう。
掃除道具を準備
ゴミ屋敷を掃除するとなると、普通の大掃除よりも必要な物が増えるでしょう。ゴミ屋敷の掃除で必要な清掃用具について解説します。
ゴミ袋や雑巾類は大量に用意
自治体が指定しているゴミ袋があるならそれを、なければ半透明の丈夫なゴミ袋を、ゴミの分類に合わせて30~100枚ほど用意して臨みましょう。先端の尖ったものや割れ物、液体の処分のために、ガムテープや新聞紙も持っていった方がよいかもしれません。
雑巾・洗剤についても30枚程度は用意しておきたいところです。水場が汚れているケースも考えると、雑巾は使い捨てるつもりで多めに用意しましょう。スポンジやたわしもいくつかあると、効率的に掃除が進むのでおすすめです。
汚れてもいい服装でマスクや軍手も必要
大量の埃が飛び交うため、マスクやゴーグル、三角巾は必需品です。また、動きやすく汚れても良い服装を装備しましょう。
怪我防止のための軍手も複数枚持っていくことをおすすめします。ガラスを踏んでも良いように底の分厚いシューズに、液体が染みこまないようゴム手袋も数枚持って行きましょう。
どんなゴミがあるかを想定してあらかじめ対処できる用意をしておきます。
殺虫剤も用意
生ゴミが多い場合、確実にゴキブリやハエが大量発生しています。水場は蚊などの他の虫がわいているかもしれません。
ゴキブリ駆除剤をはじめとした殺虫剤に加え、殺鼠剤があっても良いでしょう。
虫除けスプレー、怪我をした時のために絆創膏や消毒液も準備しておいてください。
掃除の流れ
それでは、実際にゴミ屋敷を掃除する流れを解説します。協力者と力を合わせて、うまく連携を取って進めていきましょう。
玄関と廊下を片付け動線を確保
『動線』は、生活空間の上で人が移動する通路を結んだ線のことです、ゴミ屋敷の掃除に取りかかる際には、片付け用の動線を確保するところから始めましょう。
廊下と玄関、台所や洗面所などの水場は、移動がスムーズにできるようにしておきます。掃除のための水と通路の確保、外までの道を確保することでゴミ袋の通り道にするためです。
ゴミ袋にゴミを分別しながら詰め込んでいきつつ、片付け動線を作っていきます。
ゴミや不用品をすべて処分
動線の確保が済んだら、まずはゴミの分類から取りかかっていきます。当日を迎える前までに、大型ゴミや家電の処分は済ませておきましょう。残っていると掃除の邪魔になります。
ゴミは大きい物から捨てていきましょう。それから明らかに不要な物を捨てていきます。この時、協力者がいるのであれば大切な物まで間違って捨てられないよう、残す物については事前にリスト化しておくことをおすすめします。
捨てるか取っておくか迷った場合は、いったんは保留にしても良いかもしれませんが、保留品があまりに多くなるようなら、基準について考え直す必要がありそうです。その後に残す物と捨てる物をそれぞれで仕分けしていきます。
空いたスペースを清掃
ゴミを取り除いたら、空いたスペースを掃除機や雑巾で綺麗に掃除します。掃除は高いところから低いところへするのが基本です。床から先に掃除しても、天井や壁をその後に掃除すればまた埃やゴミが落ちてきて2度手間になってしまうからです。
害虫発生と異臭の原因になるため、生ゴミから出た浸出液は特に入念に掃除を行ってください。
途中で挫折しないコツ
ゴミ屋敷の掃除は大変な手間がかかります。ここまでで紹介した作業も、実作業に2日から5日ほど、事前準備を合わせるなら2週間ほどはかかるかもしれません。
片付けは無報酬ですし、その間にも仕事に行っていて疲れてしまうかもしれません。途中で挫折してしまう可能性は非常に高いのです。
そうならないためにも、最後まで片付けを続けるのに必要なポイントを見ていきましょう。
1部屋ずつ片付けていく
ゴミ屋敷を片付ける場合、1日で終わることはほぼありません。すべての場所を均等に掃除していくよりも、1部屋ずつ確実に片付けていくことをおすすめします。
部屋の移動を繰り返すと移動時間の分だけ効率が悪くなりますし、成果が見えにくいのも欠点です。1部屋だけでも目に見えて成果が確認できれば、翌日のやる気にもつなげられるでしょう。
そして、できれば小さな部屋からする方がより成果も見えやすくなりますし、片付けもしやすいのでおすすめです。人数によって1、2部屋を分担して掃除し、最後に全員で広い場所を掃除するようにしましょう。
単純作業からはじめる
例えば遺品整理や思い入れのある品物の仕分けなど、面倒なものから最初に手を始めようとする人がいます。気力と体力が充実している最初の方が、面倒な作業を行いやすいという意見もわからなくはありません。
しかし、面倒な物の仕分けはそれだけ時間がかかります。遺品であれば他の親族と捨てるかどうかの相談が必要になるといったタイムロスも発生するでしょう。勝手に遺品を処分したとトラブルになるケースもあります。
そこで、ゴミなどの確実に処分できる物から捨てていくといったように、相談の要らない単純作業から入るのがおすすめです。
一緒に協力してくれる人でもプライベートの事情はあるので、最終日まで協力してくれるかは不明でしょう。できることから効率的にやっていき、着実に終わらせていくのが最後までやりきるためのポイントになります。
ゴミ屋敷に戻らない心がけが重要
最後まで掃除が終わり、ゴミ屋敷から脱出できたとして、それで終わりではありません。
再びゴミ屋敷にならないように工夫が必要です。どういった点を心がけたら良いか見ていきましょう。
物を溜め込まない
部屋が散らかる要因の1つが、管理ができないほどに物が増えてしまうことにあります。
買い物癖がある人は注意が必要です。安いからといって食糧を買い込みすぎると、収納場所がなくなるだけでなく電気代もかかりますし、消費できずに腐らせてしまうこともあるでしょう。セール品で買った靴や服も、増えすぎてスペースを圧迫してしまうと、出し入れしにくくなってしまいます。
買い物をする際には『安いから』ではなく、それが本当に必要かどうか、家に代わりのものがないかをきちんと考えてから買う習慣が重要です。安いからといって数多く買えば、結局高いものを買うよりもお金を使ってしまいます。
どうしても買ってしまった場合は、元々持っている物の中で役割が近い物などを処分し、部屋の中の物が増えないように工夫をしましょう。
汚したらすぐ片付ける
よく使うからとペンやハサミを机の上に出しっ放しにしていたり、洗濯物をたたまずに放置したりしていませんか?
物を片付けずに放置してしまうのも、部屋が散らかる原因です。最初のうちは1つ2つでも、散らかっている現状になれてしまえば片付けなくなってしまいますし、物が散らかっていることで必要な物が探しにくくなるでしょう。
収納場所を決めて、出したものは使い終わったら片付ける習慣をつけてください。使いにくいのであれば、レイアウトそのものを変更し、使いやすいように配置しなおすのがおすすめです。
まとめ
ゴミ屋敷を1人で片付けるのは、かなりの重労働で無理があるでしょう。人員を確保し、自治体のゴミ回収のスケジュールに合わせて、片付けのスケジュールを組んでいきましょう。
基本的には1日で終わらないため、何日かに分けて行います。まずは粗大ゴミなどの大きいゴミから片付けをして、1部屋ずつ着実に綺麗にしていきましょう。
最も効率が良いのが、そもそもゴミ屋敷化をさせないことですので、片付けが終わったら2度とゴミ屋敷にならないように物を管理していくことが重要です。