『実家を片付けたいけど、自力では難しいほど汚い』という場合は業者の手を借りましょう。ゴミ屋敷のような空間で生活していると、害虫の発生や家庭内事故の確率が高まり、安心して暮らすことはできません。本記事では片付け業者に依頼する上で知っておきたいことでを解説します。
目次
片付け業者に依頼できる内容
片付けを依頼するには、どのような事まで請け負ってくれるのか不安ですね。依頼する前に、片付け業者にはどのような専門性があるのかを見ていきましょう。
清掃からゴミ屋敷の片付けまで依頼可能
片付け業者は、軽度な汚れの清掃からゴミ屋敷の片付けまで依頼ができます。彼らはプロなので、天井までゴミが埋め尽くされているような状態でも、短時間で綺麗にしてくれます。ゴミの分別や搬出もすべて任せられるので、事前確認を徹底すれば、当日はとても楽でしょう。
ゴミ屋敷の掃除には相当な時間と体力が必要です。特に高齢者の方には難しいでしょう。業者への依頼にはもちろん費用はかかりますが、そのぶん体力的な負担が必要ないというメリットがあります。
業者により専門が異なる
片付け業者には、それぞれの状況に応じた専門業者がいます。例えば、以下のような専門業者が存在しています。
- 遺品整理業者:遺品整理を専門に扱う
- 生前整理業者:生前整理を専門に扱う
- 特殊清掃業者:身内が亡くなったときなどに、その部屋を原状復帰させる
- 空き家整理業者:人が住んでいない状態の家を原状復帰させる
- ゴミ屋敷清掃業者:ゴミ屋敷の清掃を専門に扱い、リフォームに対応している場合もある
業者に依頼する際にかかる費用と相場は?
業者の依頼にかかる費用は、主に「ゴミの処分費」「人件費」「その他の費用」に分けることができます。この項目では、これらの大まかな相場をご紹介します。もちろん業者によって費用は異なるので、必ず見積もりを出してもらうようにしましょう。
ゴミの処分費
ゴミの処分費は、作業時間によって変わってきます。1時間あたり1万2000〜2万円程度が目安と考えておきましょう。
人件費
部屋の汚さの度合いにもよりますが、作業員1人あたり1万〜1万5000円程度を目安と考えておきましょう。
費用に影響する要素
ゴミの処分費と人件費以外には、以下のようなものが費用に影響します。
- 間取り
- 車両費(トラックの台数や大きさによって変動する)
- ゴミ屋敷の状態
- 回収運搬費
- オプション費用(消臭や害虫駆除など)
これらを合計した費用が発生します。自分で費用を計算するのは難しいので、必ず見積りを出してもらい納得した上で依頼しましょう。
業者に片付けを依頼する流れ
ゴミ屋敷のような状態の家を片付けてくれるのは、民間の業者か自治体の2つがあります。
民間の片付け業者は、依頼してからの対応が素早く、人が住める状態にするところまで丸ごとお願いできます。デメリットとしては、費用の負担は大きくなりがちなところです。
自治体は部屋の状況を担当者と確認し、関連する機関と協力しながら対応策を練り、解決していきます。しかし、自治体によっては片付け業者を紹介するのみや、近隣住民からの苦情がなければ対応が後回しになるケースもあります。
一刻も早く何とかしたい場合は、民間の業者に依頼するべきです。この項目では、業者に片付けを依頼するまでの流れを解説します。
依頼内容と予算を決める
片付け業者には、以下のようなことを依頼することができます。
- 部屋の片付け、清掃
- ゴミの回収、運び出し
- 家具や家電の処分
- 部屋の除菌や消臭
- 不用品の買い取り
- 遺品整理、生前整理
- ハウスクリーニング
- 庭の整理、片付け
依頼内容によって料金は変わります。『簡単な片付けや収納を依頼したい』『ゴミ屋敷と呼べるほどの規模を掃除してほしい』『ハウスクリーニングや消臭もして欲しい』など、具体的に決めておきましょう。
また、それに応じた予算も決めておきます。ある程度の相場を知っておく必要があるので、事前に調べておきましょう。
複数の業者から見積りを取る
全く同じ依頼内容だったとしても、業者によって料金が異なる場合があります。そのため1つの業者だけでなく、複数の業者から見積りを取るようにしましょう。しかし、ただ安いだけで決めるのは危険です。口コミや実績などを調べて、後悔のないように業者を選びましょう。
複数の業者から見積りをもらっても予算を大幅に超えてしまう場合は、依頼内容や予算の見直しが必要です。自力で可能な限りゴミを片付けておくと、見積りも変わるでしょう。
日程の調整
提示された見積りに納得したら、業者と契約して日程を調整していきます。
このときに、以下のようなことを業者に確認しておきましょう。
- 当日の流れ
- 荷物の運び出しの際に立ち会う必要はあるか
- どれくらいの作業時間になるのか
もし立ち会いができない場合は、処分されたら困るものを仕分けしておくと良いでしょう。このほかにも気になることがあれば、作業に着手する前に必ず聞いておきましょう。
片付け業者の選び方
信頼できる片付け業者を選ぶためのポイントを解説します。悪質な業者にを選んでしまうと、最悪の場合、犯罪に関わってしまうこともあります。業者を選ぶ際は慎重に選びましょう。
見積に不明確な部分はないか
見積もりの内容があやふやなまま契約してしまうと、作業後に想定外の高額請求をされることもあります。優良な業者であれば、見積りの際に以下を確認します。
- 間取り
- 築年数
- 階数
- エレベーターがあるかどうか
- トラックを停められる場所があるかどうか
このような情報を確認しない業者は、作業が終わってから追加料金を請求してくる可能性があります。
また、複数の業者の見積もりを比べたときに、1社だけが異様に安い場合は安易に飛びつかず、疑ったほうがいいでしょう。業者の中にはオプション料金をどんどん追加しようとしたり、回収したゴミを不法投棄したりする場合があります。ホームページなどで間取りや作業人数に応じた料金が明確に設定されているかどうかも、優良な業者を見抜くコツです。
見積外の費用に注意
電話やメールで見積もりをしてもらた場合は、実際に現場で作業をした時に以下のような理由で追加料金を請求される場合があります。
- 想定以上のゴミが出た
- 処理場に運び出せないゴミが多く、別の処分方法を取る必要がある
- ゴミの搬出経路が複雑だった(エレベーターがない、近くにトラックが置けないなど)
そうならないために、自宅まで訪問してもらって状況を把握してもらった上で見積りを取りましょう。訪問での見積りに対応していない業者は、最初から候補に入れない方が安全です。
必要な許可や免許を持っているか
一般家庭のゴミを回収できるのは、『一般廃棄物収集運搬業許可』を持っている業者のみです。よく混同される『産業廃棄物収集運搬許可証』は廃棄物の処理ができるようになる資格です。これを所持していたとしても一般家庭のゴミを回収することはできないので気をつけましょう。不用品を買い取ってくれる業者の場合は、『古物営業許可』を持っているかどうかも確認しましょう。
片付け業者の中には、必要な許可や免許を持っていない悪質な業者も存在します。こういった業者は物を雑に扱ったり態度が悪かったりと、不満が残る仕事をすることがあります。
また、適切な許可や免許を持っていないということは、遺品や不用品を不法投棄されるかもしれないということです。その場合の責任を負うのは依頼人です。くれぐれも悪質な業者には依頼しないように注意しましょう。
当日までにやるべきこと
業者を選定し、片付け清掃を依頼する日が決まったら、そこで終わりではありません。それまでにいくつかやっておくべきことを見ていきましょう。
親と片付けの目的をすり合わせ
実家はあくまでも親の家なので、親と片付けの目的をすり合わせておくことが大切です。親が納得していない状態で片付けをしてしまうと、今後の関係が悪化する恐れがあります。
ここで大切なのは、親の価値観を否定しないことです。親世代は『物を捨てるのは勿体無い』という考えを持っているかもしれません。そのため、片付けはそれほど必要なことと考えていないこともあります。
親に片付けを納得してもらうために、『なぜ片付けが必要なのか』を理解してもらえるように努めましょう。ただ、「部屋が汚いから片付けたい」と訴えても、理解してくれないかもしれません。そのため、片付けには親にもメリットがあることを伝えましょう。
例えば、相手のことを考えていると強調できるように『物を減らせば家庭内の事故を防ぐことができる』『片付けをすれば安全で快適な暮らしができる』『衛生面が改善され、病気になりにくくなる』といったメリットを伝えると良いでしょう。
物の整理を始めるのがベター
業者は部屋の清掃以外にも、室内の整理など対応してくれます。しかし、中には処分して欲しくないものもあるでしょう。そのような場合は事前にリストにして渡しておくか、整理しておくようにしましょう。
片付け当日までに整理しておけば、当日の立ち会いが難しくても残しておきたいものが勝手に捨てられるということはありません。また、物を整理する過程で親と思い出話に花が咲くこともあります。実家を片付ける上で親とのコミュニケーションは大切です。思い出の品などを通してこれまで話してこなかったことをたくさん話してみてみましょう。
ご近所への挨拶
片付け作業中は、ゴミの運び出しや掃除によって騒音が発生することがあります。また、エレベーターの使用も多くなりますので、ご近所への配慮として挨拶はしておきましょう。そうすれば近隣住民からの苦情を減らすことができます。
当日や事前に挨拶回りをする時間がなければ、業者の担当者から代わりに挨拶回りをしてくれる場合もあります。こういったことも、片付けを依頼するときに聞いておくといいでしょう。
片付け当日は何をする?
片付け当日は、業者が来るまでに余裕をもって迎える準備をしておきましょう。ここでは、業者が到着してからすることを解説します。
力仕事は基本的にお任せ
以下のような力仕事は、基本的に業者にお任せします。
- 部屋や玄関などの床の掃き掃除
- 床の拭き掃除
- トイレ・台所・風呂場などの水回りの清掃
- ゴミの分別、運び出し
逆に、業者ができないことでは『事前に伝られていない物に関して、捨ててもいい物かどうかを判断すること』があります。こういったことは依頼人が事前にしておく必要があります。
また、必須ではありませんが、労いとして差し入れや心づけを渡すと喜ばれます。金銭的に負担の大きいものである必要はなく、飲料やお菓子、少額の心付けでもいいでしょう。もちろん渡さなくても、丁寧にお礼を伝えれば十分です。
作業に立ち会い、対応を判断する
基本的に作業当日の立ち会いは、開始前と作業後の2回です。
しかし、作業中に『これは捨てていいのか』などの問題が出てくることもあるので、現場にいないときでもすぐに連絡がつくようにしておきましょう。
立ち会いは必須ではありませんが、しておけばお互い安心できます。もし立ち会いが難しい場合は、作業終了後に写真や動画で様子を確認することができるので問題ありません。
また散らからないように注意しよう
実家の片付けには、たくさんの費用や労力がかかります。せっかく綺麗な状態に戻したのなら、また散らかさないように気をつけて生活したいものです。再び業者のお世話にならなくて済むように、綺麗な状態を維持する方法を解説します。
定期的に実家の様子を確認
親と別居している場合は、定期的に実家の様子を確認しましょう。あまりにも露骨に部屋の状態をチェックすると、親からしても『監視されているようだ』と感じ、嫌な思いをさせてしまうかもしれません。あくまでも実家に顔を出したついでにチェックする、といった建前でいると良いでしょう。
もし散らかっている場合も、頭ごなしに怒らないようにしましょう。どのようにすれば綺麗な状態を維持できるのかを話し合い、部屋を散らかさない習慣をつけてもらいましょう。
また、綺麗な空間で住むことのメリットを再確認させることも大切です。例えば、『部屋を片付けてから、匂いが無くなったね』『物が少なくなったから安全に生活できるね』のような言葉をかけてあげましょう。そうすれば、自発的に綺麗な空間を維持しようと努めてくれるはずです。
家を綺麗に保つ方法を共有
実家と離れて暮らしている場合は、定期的に実家に帰るのは難しい場合があります。また、いつまでも実家の様子に気を配らなくてはいけないのは負担になります。
そのため、家を綺麗に保つ方法を親と共有し、実家が散らからないようにしましょう。ああしろこうしろと口うるさく言うのではなく、楽しく会話することを心がけてみましょう。親自身が片付けに楽しみを感じ、積極的に家を綺麗に保とうとしてくれることが理想です。
整理整頓し物を増やさない
必要以上に物を増やさないためには、いま家に何があるかを把握することが大切です。そのために、整理整頓を怠らないことが大切です。ただ闇雲に収納するのではなく、それぞれの物をわかりやすく整理しましょう。こうすることで、『すでに持っているものをまた買ってしまう』といったことを防ぐことができます。
また、親世代には『普段使っていない物でも捨てられない』ということもあります。このような場合は、一時的に保管しておく場所を設けておくと良いでしょう。保管場所にある物は、1カ月以上使わなければ捨てるというルールを決めましょう。これを繰り返していると、自分で物が捨てられるようになります。
こまめに掃除する
壁の黄ばみや風呂場のカビなどは、放置すればするほど掃除が大変になります。そのため、掃除を後回しにすればするほど掃除が億劫になっていきます。また、自力で対処するのが難しいほど散らかってしまうと、再び業者を呼ばなくてはいけなくなります。
こまめに掃除した方が1回にかかる労力が少なくて済むので、高齢の方でも問題なく掃除ができます。しかし、こまめに掃除をする習慣がない人にとっては難しいことです。
そのような習慣をつけるために、すぐ手に取れる場所に掃除用クロスやクイックルワイパーなどを置いておく、各場所に適した掃除用具を収納しておく(トイレであればクエン酸や重曹など)といった工夫をしてみましょう。また、床に物を置かないことも重要です。床に物が散らばっていると、それらをどかさないと床掃除ができなくなるからです。
まとめ
実家がゴミ屋敷と呼ばれる規模まで散らかってしまったら、すぐに専門の業者に依頼しましょう。放置する時間が長ければそれだけ状態が悪化しますし、依頼料金も高くなるので良いことはありません。片付けに踏み切るのは面倒かもしれませんが、実家の安全のためにも早めの対策を取りましょう。
また、片付けは親とコミュニケーションをとるきっかけにもなります。成人してからあまり連絡を取らなくなってしまうこともありますが、これを機に話し合いなどを設けてみてはいかがでしょうか。